東京ガスは、2026年4月27日、家庭用および一部の法人向け都市ガス料金の基本料金を、2026年11月検針分から一律で150円(税込)値上げすると発表しました。

消費税増税に伴う改定を除けば、基本料金の引き上げは第2次オイルショックの影響を受けた1980年以来、実に46年ぶりのこととなります。今回の料金改定は、昨今の物価上昇に伴う人件費や資材費のほか、供給設備などのインフラ維持コストが大幅に増大していることを受けた措置です。
同社は、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進による業務効率化を図ってきたものの、自助努力のみでコスト上昇分を吸収することが困難な状況にあるとしています。
具体的な改定内容は、東京地区等の一般料金における基本料金を月額150円引き上げるもので、標準的な家庭(月間使用量30立方メートル)の場合、支払額は約2.6%の増加となる見込みです。なお、群馬地区など一部エリアでは、現行の料金体系に基づき241円の値上げとなるなど、地域によって改定幅が異なります。
原料費高騰とは異なる「固定費」見直しの背景
ここで注目すべきは、今回の改定が昨今の中東情勢による液化天然ガス(LNG)の価格高騰とは直接関係のない「基本料金」の見直しであるという点です。
通常、中東情勢の緊迫化などに伴う燃料価格の変動は、「原料費調整制度」という仕組みに基づき、毎月の使用量に応じた「単位料金(従量料金)」に自動的に反映されます。
しかし、基本料金はガスを全く使用しない場合でも発生するものであり、検針や保安点検、ガス導管の維持管理といった、いわゆる固定的な経費を賄うためのものです。
同社は、1980年以降、長きにわたり経営の効率化によってこれらのコストを吸収してきましたが、資材価格の継続的な上昇や、老朽化した導管の取り替え、将来のインフラ更新費用を考慮すると、現行の料金体系を維持することは限界に達したと説明しています。
今回の値上げは「燃料を買うための費用」ではなく、「ガスを安全に届ける仕組みを維持するための費用」の増大が主因となっています。
基本料金と燃料費調整の両面でさらなる負担増の可能性
今後、消費者にとって懸念されるのは、今回の基本料金改定に留まらない、さらなる家計負担の増大です。
現在のエネルギー市場では、不安定な国際情勢を背景にLNGの調達コストが依然として高止まりしており、原料費調整制度を通じて単位料金がさらに上昇するリスクを常に孕んでいます。
今回の改定でガスを供給するインフラ側の「固定費」が底上げされたことに加え、中東情勢の悪化が深刻化すれば、燃料費という「変動費」側でも大幅な加算が続くことになります。
東京ガスは、一部を除く法人・個人事業主向けの選択約款メニューについても平均2.7%程度の値上げを実施し、対象となる契約は約866万件に上る見通しです。
同社は安定供給と保安品質の担保を最優先する考えですが、インフラ維持コストと燃料価格の両面で上昇圧力がかかり続ける現状を鑑みると、今後も多角的な要因によるさらなる値上げの可能性が極めて高い状況にあると言わざるを得ません。