米テラパワーは、2026年4月23日に米国初となる商用規模の先進型原子力発電所「ケマーラー1号機」の建設を正式に開始したことを発表しました。建設地はワイオミング州ケマーラーで、米原子力規制委員会(NRC)が2026年3月に建設許可を発給したことを受け、本格的な着工に至りました。
今回のプロジェクトは、次世代の原子力技術の実装に向けた重要な一歩とされており、2030年代初頭の運転開始を目指しています。同社は、既存の石炭火力発電所の跡地を活用することで、地域の雇用維持とエネルギー転換の両立を図る方針です。
ナトリウム冷却高速炉とエネルギー貯蔵の融合
「ケマーラー1号機」に採用されるのは、テラパワーとGE日立・ニュクリアエナジーが共同開発した「Natrium(ナトリウム)」と呼ばれる先進炉技術です。この原子炉は、基本電気出力34万5,000キロワットを誇るナトリウム冷却高速炉(SFR)を中核としています。

大きな特徴として、溶融塩を用いたエネルギー貯蔵システムを併設している点が挙げられます。これにより、必要に応じて出力を一時的に50万キロワットまで増強することが可能となり、出力変動の大きい再生可能エネルギーを補完する柔軟な電源としての役割を担えるとしています。
建設プロセスの進展と将来的な展望
建設作業は、非核施設である試験施設や管理棟の整備から段階的に進められる計画です。ナトリウム冷却技術は、従来の軽水炉よりも高温での運転が可能であり、システムの簡素化や安全性の向上、さらには廃棄物の削減といった技術的優位性が期待されています。
今後は、原子炉本体の設置に向けた高度な工程管理と、NRCによる厳格な検査プロセスが継続されます。本プロジェクトが成功すれば、米国における次世代型原子力発電の標準モデルとなり、脱炭素社会の実現に向けた有力なベースロード電源として普及していく見通しです。