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01005001【容量市場】容量市場は本当に「出せる電源」を確保できるのか ― 日本・英国・米国で進む制度設計と蓄電池の課題

数値

近年、日本では 電力広域的運営推進機関 が運営する容量市場や長期脱炭素電源オークション(LTDA)を通じて、蓄電池や脱炭素電源への投資が拡大しています。しかし蓄電池の普及が進むにつれ、「本当に需給逼迫時に電気を出せるのか」という新たな論点が浮上しています。

現在、世界の容量市場は「ただ存在するkW」から「必要な時に確実に出せるkW(Performance)」の評価へとシフトしています。

日本も決して例外ではなく、低予備率アセスメントや実効性テストを通じて実績を厳しく問い始めています。その中で、蓄電池特有のSOC(充電残量)管理が各国共通の制度的アキレス腱になりつつあります

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日本:容量市場における「低予備率アセスメント」とSOC管理のジレンマ

日本の容量市場は、4年後に必要となる供給力(kW価値)を事前に確保する仕組みです。しかし、単に設備を保持していればよいわけではなく、「本当に需給逼迫時に電気を出せるのか」が厳しく問われます。

具体的には、実需給において広域予備率が一定水準(8%など)を下回る時間帯は「低予備率アセスメント対象コマ」に指定され、この時間帯に市場応札等の義務を果たせなければ「経済的ペナルティ」が科されます

また、蓄電池などが「発動指令電源」として参加する場合、実需給の2年前に「実効性テスト」が行われ、実際に3時間継続して電力を提供できるかの検証が求められますテストに合格できず、市場から退出となるケースもすでに発生しています。

ここで蓄電池事業者にとって悩ましいのが、「卸電力市場の価格が高い時間帯(夕方など)に放電して収益を上げたい」という経済的インセンティブと、「夜間など、本当に需給逼迫が発生した(低予備率アセスメント対象コマに指定された)際のためにSOC(充電残量)を温存しておかなければペナルティを受ける」という制度上の義務とのジレンマです。蓄電池が普及するにつれ、このSOC管理と機会損失のトレードオフが、日本においても大きな事業上の課題として認識され始めています。

米国PJM:実際に出せなければ巨額ペナルティ

この問題に最も厳しく対応しているのが米国東部の PJM Interconnection です。

PJMでは「Capacity Performance」と呼ばれる制度を導入しており、需給逼迫イベント(Performance Assessment Interval)発生時に約束した出力を提供できなかった場合、Non-Performance Charge(未達ペナルティ)が課されます冬季嵐の際には総額18億ドル規模のペナルティが発生した事例も報告されています。

そのため、単に年間を通じて発電していればよいわけではなく、「最も電力が必要な瞬間に供給できるか」が評価対象となっています。

英国:ストレスイベントで実力を検証

英国では National Energy System Operator(NESO)が容量市場を運営しています。

英国の特徴は、「Capacity Market Notice」や「Stress Event」と呼ばれる需給逼迫イベントを定義し、その時間帯に本当に供給力を提供できたかを事後的に検証する点です。需給余力が一定水準以下になると市場参加者へ警告が発出され、契約電源は供給可能状態を維持する必要があります。供給できなかった場合にはペナルティが課されます。

英国政府は近年、未達ペナルティを従来の約6倍へ引き上げる議論も進めており、「待機しているだけで収入を得る制度」から「本当に供給できることを保証する制度」への転換を図っています。

蓄電池が増えるとSOC管理が制度の核心になる

蓄電池特有の課題は、設備容量(MW)だけでなくSOC(残量)が供給力を左右することです。

例えば50MW/200MWhの蓄電池が容量市場に参加していても、夕方の高価格時間帯に全量放電してしまえば、夜間の需給逼迫時には供給できなくなります。

そのため海外では、単なる設備容量評価ではなく、

  • 実際の運転実績
  • ストレスイベント時の出力
  • SOC維持状況
  • 継続時間(Duration)

を重視する方向へ制度が進化しています。PJMでは4時間蓄電池よりも8時間、10時間蓄電池の評価を高める制度改正も進められています。

将来はGC-EACやアワリーマッチングとも接続する可能性

今後、時間一致型証書(GC-EAC)や24/7 CFEが普及すると、蓄電池事業者は

  • 容量市場
  • 需給調整市場
  • 卸電力市場
  • GC-EAC市場

を同時に最適化する必要が出てきます。

その場合、SOCは単なる電池残量ではなく、

「将来の供給力」 「調整力」 「時間一致環境価値」

を生み出す共通資源となります。

そのため世界各国で進む容量市場改革は、単なる安定供給対策ではなく、将来のアワリーマッチングや24/7 CFE市場設計とも深く関係する論点になりつつあります。

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