需給調整市場の前日取引化とその背景
2026年5月13日に開催された第1回次世代電力・ガス事業基盤構築小委員会電力安定供給ワーキンググループにおいて、需給調整市場の前日取引化に関する実績検証が行われました。
需給調整市場は、一般送配電事業者が周波数維持や需給バランス調整に必要な調整力を市場から調達する仕組みです。
2026年3月13日より、複合市場と呼ばれる一次から三次調整力1の取引が、実需給の前日に行われるよう制度が変更されました。
これは、予測の不確実性による需給変動リスクを減らし、応札未達の解消や調達コストの高騰を防ぐことを目的としたものです。この前日取引化に合わせて、募集量や上限価格の見直しも実施されました。
前日取引化後の募集量と応札量の推移と不足率の悪化
前日取引化後の実績データが示され、募集量と応札量の関係について詳細な検証が行われました。

複合商品については、市場外調整力の控除が終了したことで募集量が増加したことに伴い、応札量自体も1日あたり1.02億キロワットアワーから1.25億キロワットアワーへと増加しました。
見かけ上は1日単位で応札量が募集量を上回っているように見えますが、応札時間単位ごとに細かく見ると不足が生じており、その不足率は14.6パーセントから17.8パーセントへと上昇する結果となりました。
一次調整力においても、応札量は増加し不足率自体は46.3パーセントから36.3パーセントに低下したものの、依然として応札未達の厳しい状況が継続しています。
また、スポット市場の取引後というタイミングになったことで、日々の応札量の変動が以前よりも大きくなっていることが確認されました。
応札価格の分布と電源種別ごとの動向
応札価格の分布状況についても分析が示されました。前日取引化に伴い、一次および複合商品の上限価格は19.51円から15円へと引き下げられていました。
取引開始後のデータを見ると、上限価格を少し下回る14円以上の応札量が増加しており、依然として一定量の応札が上限価格付近に集中的に分布している状況です。上限価格付近での応札は一部が不落となっているものの、引き続き約定できている状態が続いています。電源種別ごとに見ると、火力の応札量は増加したものの単価は上昇し、蓄電池の応札量も増加しましたが引き続き高単価の傾向が見られます。
一方でスポット市場においては、約定価格が全体的に上昇しており、需給調整市場への応札価格がスポット市場の約定価格の影響を受けやすくなっていることが推測されています。
余力の価格水準と今後の市場競争の評価
また、市場を介さない調整力調達手段である余力の価格水準についても確認が行われました。直近のデータとなる2026年1月時点の余力の平均単価は0.93円であり、市場の複合商品の平均約定単価と比較して低廉であることが示されました。
これらの実績検証を踏まえ、事務局は現時点において市場で十分な競争が働いているとは評価しがたいとの見解を示しました。
ただし、今回提示されたデータは前日取引開始後1ヶ月間のものであり、事業者の行動がまだ固まっていない可能性や、年度替わりによる契約関係の変更、さらに今後見込まれる系統用蓄電池等の新規リソースの参入などの要因も考慮する必要があります。
そのため、市場における競争が適切に働いているかを引き続きモニタリングしていく方針が確認されました。
もし競争が十分に働いていないと評価される状況がこのまま継続するようであれば、上限価格を10円や7.21円へと段階的に引き下げる検討を進めることが提案されています。
出典:
総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 次世代電力・ガス事業基盤構築小委員会 電力安定供給ワーキンググループ(第1回)
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