製品評価技術基盤機構(NITE)は、2026年5月14日、公共調達・重要インフラ向け蓄電池システム安全ガイドライン第1版を発表しました。2025年12月に公開された暫定版を改訂したもので、試験手法や判定基準を整理した技術資料、仕様書作成例も同時公開しています。
対象となるのは、公共施設や重要インフラで利用される大型蓄電池システムです。近年、再生可能エネルギー導入拡大や系統安定化需要を背景に、リチウムイオン蓄電池を中心とした大型蓄電設備導入が急増しています。一方で、国内外では熱暴走や火災事故への懸念も高まっていました。
熱暴走・延焼対策などを具体化
今回のガイドラインでは、蓄電池セル単体だけでなく、BMS(Battery Management System)、PCS(Power Conditioning System)、コンテナ型蓄電池などシステム全体の安全性評価を重視しています。
特に、熱暴走(Thermal Runaway)発生時の延焼防止、異常検知、換気・排煙、消火対応などについて、具体的な試験方法や判定基準を整理しました。別紙として公開された技術資料では、耐火性評価や異常時挙動確認など、公共調達時に参照可能な技術的考え方も示されています。
また、自治体や公共機関向けに「仕様書作成例」も公開されました。蓄電池導入が急拡大する中、調達側の技術知識不足を補完する狙いもあるとみられます。
NITEは、蓄電池システムの安全確保を通じ、エネルギーインフラの信頼性向上を目指すとしています。
再エネ拡大で蓄電池の社会インフラ化進む
近年、日本では系統用蓄電池や再エネ併設蓄電池への投資が急増しています。特に太陽光大量導入地域では、昼間余剰電力吸収や夕方ピーク対応のため、大規模蓄電池が重要インフラとなりつつあります。
一方で、海外では大規模蓄電池火災事故も発生しており、安全基準や運用ルール整備が世界的課題となっています。米国や欧州ではNFPA855やUL9540Aなどの安全基準整備が進み、日本でも標準化の必要性が高まっていました。
また、AIデータセンターやEV普及による電力需要増加を背景に、蓄電池は単なる非常用設備から、電力市場・需給調整・再エネ統合を支える中核インフラへ役割が変化しています。今後は、消防・系統運用・公共調達を横断した安全設計がさらに重要になる可能性があります。
さらに、長時間蓄電池や次世代電池技術の普及が進めば、評価基準や認証制度も継続的な更新が求められるとみられます。