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20020209 【営農型太陽光発電の政策規制】 農林水産省、ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)で新基準 農山漁村再エネ法による適正化へ

数値

農林水産省は、2026年4月、有識者会議「望ましい営農型太陽光発電に関する検討会」において、制度見直しの方向性を発表しました 。

これは、令和7年12月23日に閣議決定された「大規模太陽光発電事業(メガソーラー)に関する対策パッケージ」に基づき、農業との両立が図られる営農型太陽光発電のあり方を明確化するとともに、不適切な取組に対して厳格に対処するための方針を示したものです。

営農型太陽光発電は、適切な営農の継続を大前提として農地を特例的に一時転用し、簡易な構造で容易に撤去できる発電設備を設置するものであり、将来にわたる食料生産基盤の維持と農業者の所得向上、地域との共生が基本理念として掲げられています。

営農型太陽光発電のための農地一時転用許可件数は制度開始以降増加を続けており、令和5年度までの累計で6,137件、下部農地の面積は1,361.6ヘクタールに達しています。

しかし、栽培作物の割合を見ると「さかき」や「しきみ」などの観賞用植物が36パーセントを占める一方で、単収減少や生育不良など営農に支障を来しているケースが全体の24パーセント(1,221件)に上ることが報告されています。

しかも、その支障の71パーセントが営農者の栽培管理の不適切さなど営農者側に起因するものであり、発電設備の下部における確実な農業生産の担保が制度的な課題となっていました。

「望ましい営農型」の具体的な認定基準と新たな制度設計

こうした課題を解決するため、今回の案では「望ましい営農型太陽光発電の考え方」として、営農、発電設備、地域との共生の3つの観点から厳格な基準が設けられました。

まず営農に関することとして、営農者が地域計画において10年後の農業を担う者として位置づけられていることや、栽培品目において50万円以上の生産・販売実績を有し、業としての持続性が確保されていることが求められます。

栽培する農作物も、地域で一般的に栽培され、一般的な販売ルートが確立している品目であり、原則として毎年収穫可能なものに限定されます。

発電設備に関することとしては、下部農地の十分な日射量を確保するため、設備の遮光率が30パーセント未満(判定困難な場合は日射量の減少が20パーセント未満)であることが定められました。

また、農業機械の効率的な作業を妨げないよう、ほ場からの最低地上高を概ね3メートル以上、支柱の間隔を農業機械の進行方向に対して概ね4メートル以上確保することが条件とされています。

さらに地域との共生に関しても、協議会や地域計画の場での合意形成や、発電事業者から営農者等に対する減収額等以上の適正な利益還元が行われることなどが明記されています。

これらの新たな認定基準は、「農山漁村再生可能エネルギー法」に基づく基本方針に規定されます。

事業者は農山漁村再エネ法に基づく設備整備計画を市町村に申請し、その認定を受けることが、農地法に基づく一時転用許可の条件として位置づけられます。

これにより、従来の農地法単独では審査が難しかった地域共生等の観点を制度に組み込み、市町村が国の基本方針に沿って適否を判断できるワンストップに近い仕組みへと見直しが進められることになります。

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既存事業者への監視強化と不適切事案への厳格な対応

新規の認定基準の明確化と並行して、既存の事業者に対する監視と取締りの強化も大きな柱として示されました。

これまでは不適切事案に対する勧告や命令の明確な基準がなく、許可権者である都道府県や市町村、農業委員会の個別判断に委ねられていました。

また、指導や勧告が行われている事案であっても、書類上で改善が見られれば再許可されるケースがあり、抜本的な解決に至らないという実態がありました。

新たな方針では、国が許可権者と一体となって取締りに関与する姿勢が鮮明に打ち出されています。具体的には、国と都道府県が一体的に対応する審査や現地調査の対象となる下部農地の面積基準を、これまでの4ヘクタールから2ヘクタールへと引き下げ、より多くの施設に目を光らせる体制を構築します。

さらに、年1回の書面による実績報告の確認に加えて、作物の生育期間中に必ず現地調査を実施することをルール化し、人工衛星によるデータ等も活用して国自らが不適切案件を捕捉し、自治体へ通知する仕組みが導入されます。

不適切事案への対応基準も国によって明確化されます。実績報告書の未提出や是正指導に従わない場合、あるいは2年以上継続して単収要件を大幅に下回っている場合などを勧告・命令の対象とする具体的なガイドラインが設定されます。

そして、勧告を受けてから所要の期間内に改善が見られない事業者については、一時転用許可の再許可申請を不許可とする運用方針が徹底され、悪質な場合にはFIT制度等の認定取消や設備の撤去を含めた厳格な処置が下されることになります。

地域活性化を牽引する優良事例と今後の展望

一方で、農業経営の改善や地域の課題解決につながる優れた営農型太陽光発電のモデルケースについても紹介されており、今後の普及拡大への期待が寄せられています。

例えば、宮城県美里町の株式会社舞台ファームの事例では、隣接する水田に営農型太陽光発電設備を設置し、そこで発電した電力を、近隣の大型レタス栽培施設におけるLED照明などの消費電力の約78パーセントを賄うために自家消費するという、エネルギーの地産地消と農業のカーボンニュートラル化を両立させた先進的な取り組みが令和8年3月の稼働を目指して進められています。

また、千葉県匝瑳市の市民エネルギーちば株式会社の取り組みでは、発電よりも農業を優先した設備設計のもとで有機大豆などを栽培しつつ、売電収入を地代や協力金(10アールあたり8万円)として還元し、さらに基金を設立して耕作放棄地の再生に活用しています。

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台風による大規模停電の際には、発電設備を無料充電所として開放し、地域住民の非常用電源として機能するなど、防災と地域共生を体現する事業として高く評価されています。山梨県では、軽量で光を選択的に透過する「有機薄膜太陽電池」を簡易雨除けとして設置し、日中に発電した電力で夜間に青色LEDを照射してブドウの着色向上を図る実証試験も行われています。

こうした事例が示すように、営農型太陽光発電は単なる売電目的ではなく、農業の持続可能性を高め、地域に利益をもたらすためのツールとして位置づけ直されています。

農林水産省は、今回の「望ましい営農型太陽光発電の考え方」を通じて、農地の適切な利用と食料安全保障を確保しつつ、イノベーションを取り入れた地域共生型の再生可能エネルギー導入を強力に推進していく方針です。

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