電力広域的運営推進機関(OCCTO)は、2023年11月、北海道・東北・東京エリアを結ぶ日本海側広域連系系統に関する検討を進めています。資料では、高圧直流送電(HVDC)について、従来型の「二端子構成」に加え、複数地点を接続する「多端子構成」の適用可能性が整理されています。

HVDCは交流ではなく直流で大容量電力を長距離送電する技術で、海底ケーブルや広域連系線などで導入が進んでいます。日本では北海道本州間連系設備「北本連系設備」や紀伊水道直流連系設備など、主に二端子方式が採用されてきました。
多端子HVDCは「直流ネットワーク」型へ進化
二端子HVDCは、送電側と受電側の2地点のみを結ぶ構成です。一方、多端子HVDCは複数地点に変換所を配置し、途中で電力を分岐・融通できる点が特徴となります。
OCCTO資料では、北海道から東北、日本海側を経由して東京方面へ接続する構成案が示されており、洋上風力発電など大量の再エネ導入を見据えた広域ネットワーク形成が検討されています。
多端子方式では、複数の再エネ電源を一つの送電幹線へ接続できるため、個別送電線の重複投資を抑えやすいほか、広域的な電力融通や系統柔軟性向上が期待されます。北海道や東北の洋上風力電源を首都圏需要へ効率的に送る構成としても注目されています。
海外では欧州・中国で導入拡大
一方、多端子HVDCは技術的難易度が高い分野でもあります。直流は交流と異なり自然に電流ゼロ点が生じないため、事故時の遮断制御が難しく、高速直流遮断器や高度な保護制御システムが必要です。
このため、現在の世界主流は依然として二端子HVDCです。ただし欧州では北海洋上風力の拡大に伴い、英国、ドイツ、オランダ、デンマークなどを結ぶ多端子型の「直流グリッド」構想が進展しています。中国でも内陸再エネ基地と沿岸需要地を結ぶ超高圧直流送電網の高度化が進められており、多端子化に向けた研究開発が加速しています。
日本でも再エネ大量導入や広域融通拡大が進む中、従来の地域分散型系統から、広域直流ネットワークへの移行議論が本格化する可能性があります。
出典:電力広域的運営推進機関(OCCTO) 広域系統整備委員会資料
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