欧州環境庁(EEA)は、2026年4月17日、欧州連合(EU)の温室効果ガス(GHG)排出量が2023年から2024年の間にさらに3パーセント減少し、1990年レベルと比較して総排出量が40パーセント削減されたという最新の分析結果を発表しました。このデータは、EUを代表してEEAが2026年4月15日に国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局へ提出した公式の温室効果ガスインベントリ(排出目録)に基づいています。過去34年間にわたるEU域内の実質的な国内排出量の減少は、再生可能エネルギーの導入拡大、炭素集約度の低い化石燃料への転換、エネルギー効率の向上、そして経済の構造的な変化が主な要因であり、ほぼすべての加盟国がこの削減に寄与しています。

産業・エネルギー部門が牽引する劇的な排出削減の構造
最も絶対的な排出削減が進んだのは、電気および熱生産、製造業および建設業、住宅での燃焼、そして鉄鋼セクター(エネルギー関連の排出を含む)でした。特にエネルギーセクターの貢献度は高く、電気および熱生産に起因する排出量は1990年比で58パーセントも減少しました。これは、発電効率の向上と低炭素燃料への劇的なシフトを反映したものです。
1990年から2024年の間に、火力発電所における固体燃料(石炭など)の消費量は68パーセント減少し、液体燃料は86パーセント減少しました。2024年時点における石炭の消費量は、1990年当時の3分の1未満の規模まで縮小しています。一方で天然ガスの使用量は44パーセント増加したものの、ガス由来の排出量自体も2022年以降は18パーセント近く減少しています。再生可能エネルギーが電気および熱生成に占める割合が大幅に拡大したことで、化石エネルギーから生じる単位あたりの二酸化炭素(CO2)排出量は持続的に低下しています。また、住宅部門の大幅な削減については、建物の断熱性の向上、住宅設備の効率化、そして暖冬による暖房需要の低下が影響しています。
交通需要の拡大と森林吸収源の低下という新たな課題
分野別で好調な削減が進む一方で、課題が残る領域も浮き彫りになっています。道路輸送(陸上交通)部門の排出量については、自動車の燃費向上や電気自動車(EV)の普及が進んでいるにもかかわらず、旅客および貨物の双方で輸送需要そのものの伸びが対策による削減効果を上回ったため、結果として増加傾向を示しました。
その他の化学物質では、冷蔵やエアコンの冷媒として使われるハイドロフルオロカーボン(HFC)の排出量が1990年から2014年にかけて急増したものの、EUによるFガス(フロン類)規制や段階的な全廃措置が功を奏し、直近では10年連続で減少しています。しかし、環境面での大きな懸念として、森林による炭素のネット吸収量(除去量)の低下が挙げられます。これは主に、国内の森林が老齢化して年間の成長量が鈍化していることに加え、伐採量の増加や気候変動による悪影響が直接響いているためであるとしています。