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51021301 【IRENA】IRENA、再生可能エネルギーと電動化、送電網の抜本的拡充を軸とする次世代ロードマップを発行

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IRENAは、再生可能エネルギーと電動化、送電網の抜本的拡充を軸とする次世代ロードマップを示しました。以下に詳しく解説します。

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世界のエネルギー転換は新たな局面へ

国際再生可能エネルギー機関が新たに発表した報告書によると、世界のエネルギー転換は重大な新局面を迎えています。

第28回気候変動枠組条約締約国会議で合意された化石燃料からの脱却という歴史的な方針転換を背景に、単なる再生可能エネルギーの発電容量拡大にとどまらない、より包括的なシステム全体のアプローチが求められています

経済成長や産業化、都市化、デジタル化に伴うエネルギー需要の急増は、これまでのエネルギー効率向上の歩みの遅さと相まって、世界のエネルギーシステムの力学を大きく変容させています。

さらに、地政学的緊張の高まりや市場の価格変動、サプライチェーンの混乱によるエネルギー安全保障への懸念が深刻化する中、化石燃料への依存を迅速に減らしつつ、クリーンエネルギー技術の導入を加速させる具体的な道筋が示されました。

化石燃料脱却の要となる電動化の推進

化石燃料からの脱却を現実のものとするための最大の推進力となるのが、生活から産業活動に至る最終用途における徹底的な電動化です。

報告書では、地球温暖化を1.5度に抑えるシナリオのもと、世界の最終エネルギー消費に占める電力の割合を現在の約23パーセントから、2035年までに35パーセント、そして2050年までに50パーセント以上へと引き上げる必要があると強く指摘しています。

この大規模な電動化は、建物の冷暖房、産業プロセスの熱供給、そして輸送部門における電気自動車の普及などを通じて実現されます。

電動化は従来の化石燃料の燃焼プロセスを省くことでエネルギー効率の劇的な向上をもたらし、化石燃料の直接的な需要を構造的に減少させる確実な手段となります。

単なる排出削減の手段にとどまらず、各国のエネルギー自給率の向上や経済競争力の強化、新たな産業価値連鎖の創出にも直接的に貢献することが大きく期待されています。

部門別に見る電動化の進展と目標設定

部門別の具体的な目標として、建物部門ではヒートポンプや高効率な電化製品の導入により、2035年に55パーセント、2050年には75パーセント以上の圧倒的な電動化率を達成することが見込まれています。

産業部門においても低中温熱プロセスの電化やグリーン水素の活用により、2035年に約35パーセント、2050年に40パーセント以上に達すると予測されています。

とりわけ輸送部門の変革は劇的であり、現在のわずか1パーセントから2035年に15パーセント、2050年には電気自動車の急速な普及により45パーセント超へと、最もダイナミックな成長を遂げることが明確に示されています。

再生可能エネルギーの圧倒的な供給力拡大

需要側の電動化による恩恵を最大限に引き出し、真の排出削減を達成するためには、電力供給そのものの脱炭素化が不可欠です。

電力需要の増加に合わせて化石燃料による発電を稼働させてしまっては意味がなく、再生可能エネルギーの大規模な展開が急務となります。

世界の再生可能エネルギーの設備容量は、2035年までに約18.4テラワット、2050年には約38.2テラワットへと劇的に拡大させる必要があります。

これにより、2050年の世界の電力供給の大部分をクリーンなエネルギーで安定的に賄い、エネルギーミックスにおける化石燃料の役割を20パーセント以下へと大幅に縮小させることが可能となります。

持続可能な代替燃料の補完的役割と地域間格差への対応

電力網だけでは直接的な脱炭素化が困難な分野、例えば長距離航空や海運、セメントや鉄鋼などの重工業においては、持続可能な代替燃料の活用が鍵を握ります。バイオマスエネルギーやクリーン水素、合成燃料は、化石燃料の残存需要を代替し、経済活動の継続性を担保するための重要な役割を担います

ブラジルが主導する持続可能な燃料のためのベレン・コミットメントが示すように、明確な政策枠組みと投資環境が整えば、代替燃料の生産と利用を大幅に拡大させることが実証されています

また、地域ごとの経済構造や資源の可用性の違いを考慮し、各国に最適な脱炭素化戦略を構築することが強く求められています。

送電網の抜本的拡充とインフラへの巨額投資

再生可能エネルギーの大規模な普及と需要側の急速な電動化をシームレスにつなぐ決定的なインフラが送電網です。

しかし現在、世界中で約2500ギガワットにも及ぶ風力、太陽光、蓄電池などのクリーンエネルギープロジェクトが送電網への接続待ち状態にあり、インフラ整備の遅れがエネルギー転換全体における最も深刻なボトルネックとなっています。

この物理的な制約を打破し、複雑かつ多方向への電力供給を管理するためには、送電網への年間平均投資額を、2025年の0.5兆米ドルから2026年以降は年間1兆米ドル、さらに2036年以降は年間1.2兆米ドルへと事実上の倍増規模で推移させる必要があります。

2050年までの累積投資額は29兆米ドルに達すると試算されており、公的資金の投入だけでなく、民間資金の積極的な導入をはじめとするこれまでにない規模の革新的な資金動員が急務とされています。

柔軟性の確保と蓄電池インフラの果たす役割

送電網の物理的な拡張と並行して、天候に左右される再生可能エネルギーの出力を安定させるためのシステム柔軟性の確保が不可欠です。

電力システムの柔軟性に対するニーズは、2050年までに現在の最大10倍に増加すると予測されています。これに対応するため、世界の蓄電池容量を2025年の416ギガワットから2035年には2530ギガワット、2050年には6859ギガワットへと急拡大させる必要があります。需要側の柔軟な管理やデジタル技術を活用した次世代スマートグリッドの構築により、効率的で回復力のある強靭な電力システムの運用が実現します。

国際協調と統合的な政策枠組みの構築

これらの大規模かつ複雑な転換を秩序ある形で持続的に進めるためには、分野横断的な強力な政策枠組みの構築と、揺るぎない国際的な協調が欠かせません。

市場の価格シグナルを正常化させるための化石燃料に対する補助金の段階的かつ完全な廃止、外部コストを反映させる適切な炭素価格の導入、そしてクリーンエネルギープロジェクトの許認可プロセスの抜本的な簡素化など、民間投資を強力に促進するための規制改革が不可欠です。

また、新興国や開発途上国におけるエネルギーアクセスの向上とインフラ整備を公平に支援するため、先進国からの譲許的資金の提供や革新的な金融メカニズムを通じた世界的な資金援助の拡大が強く求められています。

最終エネルギー消費に占める電力比率や送電網への設備投資額など、世界共通の定量的な指標に基づく継続的な進捗状況の追跡と、交通、建築、産業を網羅する多セクターにまたがる統合的なガバナンスのアプローチが、2050年の持続可能で豊かな未来への道を開く確かな指針となるとしています。

#出典:IRENA 2026年報告書資料ニュース記事一覧へ>>