第17回Scope2テクニカルワーキンググループの開催と議論の概要
2025年7月28日に第17回Scope2テクニカルワーキンググループが開催されました。
この会議では温室効果ガスプロトコルの改定に向けたパブリックコンサルテーションを実施するにあたり、事前に解決しておくべき実装の詳細な課題について活発な意見交換が行われました。
独立基準委員会からのフィードバックを受けてテクニカルワーキンググループの参加メンバーは、提案されている改定草案をより実務に即した具体的な形に落とし込むための検討を深めました。特に各国の企業が実際に算定業務を行う際に直面するであろう様々な実務的な困難やシステム上の課題をどのようにクリアするかが中心的な議題として扱われました。
マーケットベース手法における実装の詳細な検討課題
プロファイルされた負荷と供給可能性の取り扱い

マーケットベース手法の改定においては実際の1時間ごとの消費データが存在しない場合に用いるプロファイルされた負荷の許容方法が挙げられました。
すべての企業が完全なスマートメーターのデータを揃えることは現実的に困難なため、標準的な負荷プロファイルデータの適用と監査に耐えうる文書化に関する明確な実務ガイダンスが求められています。
また再生可能エネルギーの供給可能性について、市場境界の定義や透明性が低い地域での適用方法が議論されました。
さらに公的な資金支援を受けた標準供給サービスの取り扱いに関しても、企業の比例配分シェアを正確に算定し環境価値の二重計上を防ぐための実効性のある詳細なルール作りが必要とされています。
特定の閾値に対する要件免除とレガシー条項の実装
新たな算定基準が多くの企業に過度な負担を強いることを防ぐため、特定の閾値に基づく適用除外や中小企業に対する要件免除のメカニズムについて詳細な検討が行われました。
単なる推測ではなく実際の市場データに基づいて適切に免除基準を設定し対象企業数を評価することが事務局に求められています。
また既存の長期契約に対して旧ルールでの報告継続を例外的に認めるレガシー条項の策定も支持されましたが、対象となる契約の明確な基準やカットオフ日の設定など実装アプローチの完全な開発が不可欠であると指摘されコンサルテーション前に明確な枠組みを示す必要があると強調されました。
排出係数の精度向上とアクセス可能の定義を巡る議論
ロケーションベース手法の議論では排出係数の精度を最大限に高めるためのヒエラルキー構造の改善案が高く評価されましたが、算定に使用する排出係数に対するアクセス可能という言葉の定義をより明確にするよう求められました。
改定案では無料で公開されている信頼できるデータソースの使用が前提とされていますが、会議では有料のデータセットを利用した場合の実務上の課題について重大な懸念が議論されました。
高精度のデータセットを購入できる資金力のある大企業とそうしたデータにアクセスできない企業との間で、排出量算定結果の比較可能性や基準適用における公平性が著しく損なわれる危惧があり、世界中のあらゆる企業が利用できる高品質なデータをいかに確保するかが今後の大きな課題となっています。