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92000101【就職・転職】電力業界に遅れてやってくるグローバル経済の荒波。失われた30年を経て私たちはどこに向かうのか? (1)

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「やりたいこと」は、自分の知らない場所にあるのかもしれない

――AI時代のキャリアと、“花の山”の見つけ方

私たちアワリーマッチング推進協議会では、非営利活動の一環として、電力・脱炭素領域で時代を担う人材育成にも力を入れています。そんな中で、学生の方や若手社会人の方々からの就職・転職のご相談などをお受けする機会も少しずつ増えてきました。

特に最近は、「これからどんな学部を選べばいいのか」「AI時代にどんな仕事を目指すべきなのか」「電力業界やGX分野は将来性があるのか」といった相談を受けることも多くなっています。

その中で私自身、これから大学の学部選択や、就職・転職を考える方には、電力・エネルギー分野は非常に面白い領域だと感じています。

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なぜAI時代に電力領域はおすすめなのか?

理由はいくつかありますが、特に大きいのは、この分野が“現場”を必要とする産業だからです。

電力というのは、どれだけデジタル化が進んでも、最後は発電所、送電網、変電所、蓄電池、工場、地域インフラなど、現実の物理世界と強く結びついています。むしろ、AI・データセンター・脱炭素化・電化の進展によって、これから50年単位で重要性が増していく分野だと思います。

そして、それは日本だけでなく、海外でも同じです。だから活躍の場は国内にとどまりません。

だからこそ、理系・文系を問わず、電力・エネルギー・GX・インフラ分野に関わる学問や仕事は、これからの時代に非常に価値があるのではないかと感じています。

谷川嘉浩先生の京都大学の公開講座を見て

そんな中、先日たまたまYouTubeで、京都大学の公開講座「京大知の森」における、哲学者の谷川嘉浩先生のお話を視聴する機会がありました。

テーマは、「谷川嘉浩氏「学びには、『主体性』も『モチベーション』もいらない」京大知の森(令和8年度春季)

AI時代の『知性』と『衝動』についてのお話しでした。

大学生や若い世代に向けた講義だったのですが、社会人である自分にとっても非常に示唆に富む内容で、思わず最後まで引き込まれてしまいました。

その中で特に印象に残ったのが、「やりたいことは、自分が知っている範囲の中でしか探せない」という話でした。

たしかに私たちは、小さい頃から「やりたいことを見つけなさい」と言われます。

しかし実際には、自分が知っている仕事、周囲が知っている世界、社会で“良い”とされている進路の中からしか、多くの場合、その「やりたいこと」を探せていないのかもしれません。

「正解探し」になりやすい時代

今の時代は、「主体性」が大事だと言われる一方で、実際にはかなり強い“正解ルート”の空気もあります。

いい大学。

有名企業。

人気業界。

安定した会社。

社会的に評価される職種。

もちろん、それ自体はとても素晴らしいことです。

実際、一流企業や組織で日々努力されている方々には、本当に敬意がありますし、日本社会を支えているのは、そうした多くのビジネスパーソンの方々だと思います。

ただ一方で、社会や技術の変化が大きい時代だからこそ、“みんなが知っている世界”の外側にも、大きな可能性があるのではないか、と最近よく感じます。

株式相場には、「人の行く裏に道あり、花の山」という有名な言葉があります。

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みんなと同じことをしていてはお金は稼げない。多くの人と同じ方向だけを見ていると見えないものが、少し違う場所に行くことで見えてくる、という意味です(もちろん、ただ単純に、他の人と違うことをしていれば何をしてもよいという意味ではありません)。

これは、キャリアにもどこか通じるところがある気がしています。

AI時代こそ「現場」が重要

最近はAIが急速に発展しています。

知識を整理したり、一定の答えを導いたりする能力は、本当に驚くほど高いと思います。

ただ、その一方で、世界にはまだ“データ化されていない現実”が数多く存在しています

クラウド上のデータに上がらなければ生成AIは活躍できません。

特に、途上国や地方、あるいは新興市場の現場では、それを強く感じます。

実際に行ってみないと分からない。

現地の人と話してみないと見えない。

机上では正しく見える答えが、現場では全く機能しない。

逆に、統計データやレポートには出てこない知恵や工夫が、地域の暮らしの中に自然に存在していることもあります。

昭和の経営者が大切にした「三現主義」

日本企業には昔から、「現場・現物・現実」を重視する“三現主義”という考え方があります。

昭和のカリスマと呼ばれた経営者の多くは、社長室に座っていないで、現場を訪ねて、現物をさわり、現実を直視して感覚を研ぎ澄ませていました。

私は、この考え方は、むしろAI時代にこそ重要になるのではないかと思っています。

AIが得意なのは、すでに大量のデータがあり、パターン化された世界です。

しかし、人間関係や文化、地域特性、インフラ事情などが複雑に絡み合う現場では、最後は人間が入り込み、相手と向き合いながら、一緒に形をつくっていく必要があります。

特に、エネルギーやインフラ、地域開発のような分野では、その傾向が強いように感じます。

「知らない世界」に飛び込む

少し自分自身の話をすると、私は、いわゆる世間でいう有名学校を卒業し、その後、大企業に就職しました。

当時は、それが自然な進路だと思っていましたし、そこで40年働いてキャリアを成功させようと考えていました。地位と名誉とお金を手に入れたいということですね。

その時、まさか自分が将来、海外、とくに途上国で仕事をするようになるとは、全く想像していませんでした。

ところが、その後、あまりポジティブではない事情があって、日本を離れて途上国に暮らし、途上国の電力開発に関わる仕事をすることになりました。

最初から「海外で活躍したい」などと思っていたわけではありません。

むしろ、「少し面白そうだな」「せっかくだからやってみよう」くらいの感覚だったと思います。

でも実際に飛び込んでみると、そこには、自分が学生時代には全く知らなかった世界が広がっていました。

現地の方々と一緒に事業をつくる。

インフラやエネルギーの課題に向き合う。

文化も価値観も違う中で、少しずつ信頼関係を築いていく。

大変なことももちろんありましたが、それ以上に、多くの発見と学びがありました。

花の山は外側にある

振り返ってみると、その経験は、自分にとって本当に大きな意味がありました。

まず、自分自身が非常に充実感を持って仕事に向き合うことができました。

また、自分の仕事が現地の方々や社会の役に立ち、喜んでいただける場面も多くありました。

さらに、国際的な仕事を通じて、責任ある立場や、一定の評価をいただく機会にも恵まれました。

そして、これは少し現実的な話になりますが、結果として、待遇や報酬面でも、非常に恵まれた環境で仕事をさせていただくことになりました。

もちろん、最初からそれを狙っていたわけではありません。

むしろ大学を卒業した頃には、自分がそんな仕事をすることになるとは、本当に全く想像していなかったのです。

だからこそ思うのですが、谷川先生の言葉に帰って、「やりたいこと」や「自分に合う仕事」というのは、案外、自分がまだ知らない世界の中にあるのかもしれません

もちろん、誰にでも海外を勧めたいわけではありませんし、国内で就職偏差値の高い有名企業や組織での王道のキャリアを否定したいわけでもありません。

ただ、あまり“最適解”だけを探しすぎず、ときには少しだけ、自分の好奇心や衝動に従ってみる。

人が少ない場所。

まだ未成熟な分野。

新しい地域。

あるいは、自分がまだ知らない世界。

そういう場所に、意外な“花の山”が待っていることもあるのではないでしょうか。

そして、その「花の山」を見つけやすい分野の一つが、私はやはり電力・エネルギー分野だと思っています。

電力は、人間社会が存在する限り必要であり続けます。

さらにこれからは、AI、データセンター、EV、再エネ、蓄電池、GXなどによって、その重要性はさらに高まっていきます。

しかも、この分野は現場がなくなりません。

日本でも海外でも、人と人が向き合い、設備を動かし、地域と対話しながら、現実世界を支えていく仕事が必ず必要になります。

だからこそ、これから学部選択や就職、転職を考える方には、ぜひ一度、電力・エネルギー・GX・インフラといった分野にも関心を持っていただければと思います。

もしかすると、自分でもまだ知らない“花の山”が、その先に広がっているかもしれません。