帝人は、2026年4月21日、愛媛県松山市にある松山事業所北地区において、都市ガスを燃料としたガスコージェネレーションシステムによる自家発電設備の本格稼働を発表しました。本設備は、国内でも有数の規模を誇る自家発電インフラであり、同社の脱炭素戦略における中核的な役割を担います。
帝人グループは「2050年度までのカーボンニュートラル達成」を長期目標に掲げており、最大規模の生産拠点である松山事業所のエネルギー転換を最優先課題としてきました。これまでは石炭や石油燃料を用いた自家発電を行ってきましたが、低炭素な都市ガスへの燃料転換と、発電時の排熱を有効活用する高効率システムの導入により、環境負荷を大幅に低減するとしています。
排熱利用による高効率化と20万トンの排出削減
今回稼働したガスコージェネレーションシステムは、電力供給と同時に発生する蒸気などの排熱を工場内の製造プロセスで再利用する仕組みです。この熱電併給(コージェネレーション)により、エネルギーの総合効率を飛躍的に高めることが可能となります。
本設備の本格稼働によるCO2削減効果は、年間で約20万トンに達する見込みです。これは帝人グループ全体が掲げる中期的な削減目標に対しても大きな寄与となります。また、分散型電源として自社内でエネルギーを完結させることにより、外部系統のトラブル時にも生産活動を維持できるレジリエンス(災害復旧力)の強化も同時に実現しています。
化学産業における脱炭素と安定供給の両立
化学産業は製造工程で大量の熱と電力を必要とするため、エネルギーのクリーン化と安定供給の両立が極めて困難な分野とされています。帝人は、石炭火力からの脱却を図る一方で、最新のガスエンジン技術を導入することで、生産効率を落とすことなく環境性能を向上させるという実効性の高いモデルを提示しました。
同社は今後、この松山事業所での知見を国内外の他拠点へも展開し、サプライチェーン全体での脱炭素化を加速させる方針です。気候変動問題への対応を経営の柱に据える中で、今回のガスコージェネレーションシステムの稼働は、重厚長大産業が持続可能な製造体制へと進化するための重要なマイルストーンとなることが期待されています。