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01005501 【第3回長期脱炭素電源オークション】アンモニア混焼改修について概括。今後の見通しは

01005501 【第3回長期脱炭素電源オークション】アンモニア混焼改修について概括。今後の見通しは

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長期脱炭素電源オークションは、2050年のカーボンニュートラル実現と将来の電力安定供給を両立させるため、脱炭素電源への新規投資や改修に対して原則20年間にわたり固定費水準の容量収入を保証する制度です。

既設の石炭火力発電所などをアンモニア混焼へ改修する事業は、既存のインフラ設備を有効活用しながら脱炭素化を進める重要なトランジション技術と位置付けられています。

制度開始当初の第1回入札では、アンモニア混焼への改修案件として77.0万キロワットが応札し、その全量が落札されました。続く第2回入札では、海外の上流設備のコストを加味し、グリーンアンモニアの諸元をベースに上限価格が1キロワットあたり年間10万円と設定され、既設火力の改修全体に対して100万キロワットの募集上限が設けられました。

しかし、世界的なインフレやサプライチェーンの構築コスト増大を背景に、事業者が投資回収の確実な予見性を持つためにはさらなる制度的支援が必要とされていました。

委員会における議論と第三回に向けた制度変更およびLNG専焼火力とのルールの違い

関連委員会では、アンモニア混焼技術が未だ黎明期にあり、特段の配慮を行わなければ社会実装が困難であるとの認識が共有され、第3回入札に向けて抜本的なルールの見直しが行われました。ここで、同じく火力発電であるLNG専焼火力とは明確に異なるルールが設定されました。

第一の違いは上限価格の扱いです。LNG専焼火力は発電コストが相対的に低いため、制度全体の閾値である20万円の範囲内で算定され、第3回では1キロワットあたり年間約5.7万円と設定されました。

一方、アンモニア混焼改修は黎明期の技術に対する特例として20万円の閾値の例外とされ、導入が可能となる水準まで引き上げられました。具体的にはグリーンアンモニアをベースに1キロワットあたり年間37.8万円という非常に高い上限価格が設定されました。

第二の違いは可変費の支援範囲です。LNG専焼火力は燃料費等の可変費算入が認められていませんが、アンモニア混焼改修については石炭との燃料価格差相当分を設備利用率の40パーセント分まで応札価格に算入することが認められました。

第三に、LNG専焼火力が数百万キロワット規模の専用の募集量を設定されたのに対し、アンモニア混焼改修を含む脱炭素火力は第2回の100万キロワットから量を絞り、第3回では全体の募集上限が50万キロワットと設定されました。

第三回オークションにおけるアンモニア混焼改修の落札結果と金額の妥当性

これらの制度変更を経て実施された第3回オークションにおいて、アンモニア混焼改修等を含む脱炭素火力の区分では、募集上限50万キロワットに対して51.7万キロワットの応札があり、全量が落札される結果となりました。

LNG専焼火力が募集量に対して大幅な超過応札となり激しい価格競争となった一方で、脱炭素火力は募集上限に近い手堅い応札状況となりました。落札金額の妥当性については、黎明期の技術に対する配慮として上限価格が大幅に引き上げられていたものの、マルチプライス方式の下で事業者による精緻なシミュレーションが行われ、脱炭素電源全体の加重平均約定価格は1キロワットあたり年間11.1万円と国が設定した上限価格の約5.5割の水準に収まりました。適正な競争原理が働いた結果として、落札金額は極めて妥当であったと評価されています。

容量市場長期脱炭素電源オークション約定結果別紙のアンモニア混焼落札電源一覧

  • 北海道電力株式会社、落札案件名苫東厚真発電所4号機、電源種既設火力の改修(アンモニア混焼への改修)、落札容量132,200キロワット。
  • 株式会社コベルコパワー神戸、落札案件名神戸発電所1号機、電源種既設火力の改修(アンモニア混焼への改修)、落札容量131,433キロワット。
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今回の約定結果が第4回以降のオークションへ与える影響と展望

第3回における落札実績と最新の政策動向は、来年1月に予定されている第4回オークション以降の量、価格、条件の各側面に抜本的な影響をもたらします。

条件面では、限られた募集量の中で政策的意義の高い案件を優先するため、第4回入札からは低炭素アンモニアのみが支援対象に絞り込まれます。厳格な事前審査が導入され、日本企業の上流供給事業への出資見込みや、主要設備が我が国産業の国際競争力強化に寄与することが新たに要件化されます。

また、事業実施には海外のアンモニア製造設備など上流インフラの最終投資決定が不可欠であることを踏まえ、落札後8ヶ月以内に最終投資決定ができなかった場合に限り、市場退出ペナルティを免除する特例が設けられます。価格面においては、入札時の応札価格のみによる単純な比較から、制度適用期間にわたり調達国の消費者物価指数によるインフレ率の継続を仮定して算出した補正値を用いた価格競争へと移行し、国民負担の抑制が図られます。

さらに、資本コストの増大による支援総額の膨張を防ぐため、制度適用期間の上限が原則40年に設定される見通しであり、今後は経済安全保障やマクロ経済の変動を見据えたより強靭で精緻な事業組成が求められることになります。