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01005501 【第3回長期脱炭素電源オークション】原子力発電について概括。今後の見通しは

01005501 【第3回長期脱炭素電源オークション】原子力発電について概括。今後の見通しは

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長期脱炭素電源オークションは、2050年のカーボンニュートラル実現と将来の電力安定供給の両立を目指し、脱炭素電源への新規投資に対して原則20年間にわたり固定費水準の容量収入を保証する制度です。

原子力発電は二酸化炭素を排出しないベースロード電源として極めて重要な役割を担いますが、建設リードタイムが十数年と長く、巨額の初期投資を要するため、自由化された市場環境下では投資回収の不確実性が高く、事業者が新たな投資に踏み切れないという構造的な課題を抱えていました。

制度開始当初の第1回入札では新設案件への投資環境整備が主眼でしたが、続く第2回入札からは安全対策の充実による既設炉の最大限活用を促すため、新たに既設原子力の安全対策投資が支援対象に追加され、200万キロワットの募集量が設定されました。

しかし、世界的なインフレによる建設資材費や安全対策費の高騰、金利上昇といった事業環境の急速な悪化が重なり、より強力な投資予見性の確保が求められていました。

委員会における議論と第三回に向けた制度変更

関連委員会では、インフレ等による事業環境の激変に対応し、原子力をはじめとする脱炭素電源の確実な投資を後押しするための抜本的な制度変更が議論されました。

第3回入札に向けては、すべての電源に適用される応札価格の閾値が従来の1キロワットあたり年間10万円から20万円へと大幅に引き上げられました。

原子力発電に関しては、新設案件については募集上限を設定せずに幅広く応札を募る一方で、既設原子力の安全対策投資については第3回の募集上限が前回の200万キロワットから150万キロワットに見直されました。

さらに、長期間にわたる建設プロセスにおいて事業者に帰責性のない事象により事後的な費用増加が発生した場合に、一定の条件のもとで落札価格を補正する仕組みが議論され、大規模かつ長期にわたる原子力事業特有の事業リスクを制度的に緩和する市場規律の強化が図られました。

第三回オークションにおける原子力の落札結果と金額の妥当性

これらの制度変更を経て実施された第3回オークションにおいて、原子力発電は力強い投資意欲を示す結果となりました。

募集上限が設定されていない新設の脱炭素電源区分においては約138.1万キロワットの応札があり、全量が落札されました。

また、募集上限150万キロワットの既設原子力の安全対策投資区分においても約55.8万キロワットの応札があり、落札に至りました。

落札金額の妥当性については、インフレ等に対応するため上限価格の閾値が引き上げられていたものの、マルチプライス方式の下で事業者による厳格なコスト査定と精緻なシミュレーションが行われ、加重平均約定価格は脱炭素電源全体で上限の約5.5割という低い水準に抑え込まれました。

巨大な資本費を要する原子力インフラにおいて過度な利益供与を排しつつ適正な市場価格が形成された点で、この落札金額は極めて妥当性が高いと評価されています。

容量市場長期脱炭素電源オークション約定結果別紙の原子力落札電源一覧

2026年5月13日に電力広域的運営推進機関から公表された容量市場長期脱炭素電源オークション約定結果は以下の通りです。

  • 電源開発株式会社、落札案件名大間原子力発電所、電源種原子力、落札容量1,381,275キロワット。
  • 北海道電力株式会社、落札案件名泊発電所1号機、電源種原子力(既設原子力の安全対策投資)、落札容量557,848キロワット。
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今回の約定結果が第四回以降のオークションへ与える影響と展望

第3回入札における原子力の大規模案件の確実な落札と、第7次エネルギー基本計画で示された原子力の最大限活用という国家方針は、来年1月に予定される第4回入札以降の量、価格、条件の各側面に抜本的な影響を与えます。

条件面では、長期的な原子力産業のサプライチェーン維持と人材確保の観点から、国による原子力発電の見通しや将来像の明示が強く求められており、2040年代に約550万キロワットの建て替えが必要となるといった具体的なマクロ指標が今後のオークションの投資環境を支える前提となります。

価格および量的な影響としては、現在原則20年とされている制度適用期間の上限が、長寿命な原子力発電の特性と資本コストの増大による国民負担の膨張を防ぐ観点から、原則40年へと延長される見通しです。

さらに、リードタイムが長い建設期間中から投資回収を可能とする仕組みの導入や、政府の信用力を活用した電力広域的運営推進機関による新たな財政融資制度の創設も並行して議論されており、今後は次世代革新炉の開発や新設を見据えた、より強靭で長期的な事業組成が求められるパラダイムへとシフトしていくことになります。