オーストラリア政府は、家庭用蓄電池導入支援策「Cheaper Home Batteries Program」を通じ、分散型蓄電池の普及を加速させています。クリス・ボーエン気候変動・エネルギー相は、2026年5月、支援制度による蓄電池導入が大幅に拡大していることを発表しました。

同制度は、家庭や小規模事業者による蓄電池導入コストを軽減し、再生可能エネルギー活用拡大と系統安定化を目指す政策です。オーストラリアでは住宅用太陽光発電の普及率が高く、昼間の余剰電力を夜間へシフトするため、蓄電池需要が急速に高まっています。
分散型蓄電池が卸電力価格にも影響
豪州政府は、家庭用蓄電池が電力需給ピーク緩和や再エネ出力変動吸収に寄与していると説明しています。特に夕方の需要ピーク時に蓄電池から放電することで、系統全体の調整力強化につながるとされています。
また、一部メディアは、豪州エネルギー規制機関(AER)や豪州エネルギー市場運営機関(AEMO)が、家庭用蓄電池拡大による卸電力価格低下効果に言及していると報じています。報道では、制度開始後10か月余りで導入件数が40万台規模に達したとも伝えられています。
近年の豪州電力市場では、太陽光発電大量導入に伴い、昼間の市場価格が大きく低下する一方、夕方ピーク時価格高騰が課題となっていました。分散型蓄電池は、この価格変動緩和手段としても期待されています。
“分散型電力システム”先進国へ
オーストラリアは、世界でも特に家庭用太陽光発電の導入が進んでいる国の一つです。現在は、単なる再エネ導入から、家庭用蓄電池・EV・VPP(仮想発電所)を組み合わせた分散型エネルギーシステムへの移行が進みつつあります。
特に近年は、家庭用蓄電池を遠隔制御し、系統全体の需給調整へ活用するVPP事業も拡大しています。分散型リソースを市場へ統合するモデルは、今後の電力システム改革の方向性として各国から注目されています。
また、再エネ比率上昇に伴い、「いつ発電された電力を、いつ使うか」という時間的価値管理の重要性も増しています。家庭用蓄電池は、再エネ電力を時間シフトさせる基盤技術として、今後さらに役割が拡大する可能性があります。
出典:More Australians to benefit from Cheaper Home Batteries