電力広域的運営推進機関(OCCTO)が2026年3月に取りまとめた「2026年度供給計画」では、データセンター等の増加による電力需要の拡大と、火力発電所の休廃止による供給力減少が重なり、将来的な需給ひっ迫への強い懸念が浮き彫りとなりました。
需要は「減少」から「増加」へ これまでの日本の電力需要は、人口減少や省エネルギーの浸透により減少傾向にありましたが、今回の計画では増加傾向に転じることが示されました。経済成長に加え、データセンターや半導体工場の新増設による電力需要の増加影響が、省エネ等による減少影響を上回るためです。具体的には、2026年度の8月の最大3日平均電力は、前年度比0.5%増の1億5,963万kWに達すると見込まれています。
東京エリアで供給信頼度の基準を満たせず 需要が増加する一方で、供給力は非常に厳しい見通しとなっています。短期的な断面である2026年度において、東京エリアでは電源の休廃止や補修停止等の影響により、供給信頼度の基準となる「年間目標停電量」を超過することが明らかになりました。東京エリアでは発電事業者に対して補修時期の調整を実施したものの、必要な供給力を確保できず、足元では夏季の高需要期に向けて120万kWの追加供給力公募(kW公募)を実施するなどの緊急対策を講じています。
2028年度以降は全国的に需給がひっ迫 さらに深刻なのは、2028年度以降の中長期的な見通しです。2028年度以降、東北、東京、中部から四国、九州、沖縄といった全国の複数のエリアで、目標停電量を超過する厳しい状況が見込まれています。
この背景には、2030年度を目前にして火力発電設備の減少傾向が大幅に加速することがあります。2050年カーボンニュートラルの実現に向けた国の政策を踏まえ、発電事業者は非効率な石炭火力の休廃止や、LNG火力へのリプレース(スクラップ&ビルド)を進めています。火力休止電源の総量は、2028年度から2030年度にかけて増加する見通しです。
電源投資が進まないジレンマ 需給ひっ迫を回避するためには新たな電源開発が必要ですが、発電事業者は積極的な投資に踏み切れない状況にあります。データセンターの稼働時期の遅れなどにより需要の見極めが難しくなっていることに加え、再生可能エネルギーや蓄電池の導入量も不確実性が高い状態です。発電事業者は、せっかく既存設備を維持・活用したり新たな投資を行ったりしても、将来的に設備が負債化する「座礁資産リスク」を強く懸念しています。
安定供給に向けた今後の対応 この危機的な状況に対し、国やOCCTOは様々な対策を急いでいます。短期的には、電源の補修停止期間の調整を月単位から半月単位に細分化し、よりきめ細かく需給を管理する仕組みの導入が進められています。また、中長期的には、発電事業者の投資意欲を引き出すため、長期脱炭素電源オークションの条件見直しや、容量市場の仕組みの改善、さらには大規模な電源・系統整備に対する新たな公的ファイナンス支援の創設など、政策的な事業環境の整備が急務となっています。