米エネルギー情報局(EIA)は、2026年4月7日、世界のエネルギー需給見通しをまとめた最新の「短期エネルギー展望(STEO)」を発表しました。
このレポートによれば、米国の液化天然ガス(LNG)輸出量は2027年に日量18.6億立方フィート(Bcf/d)に達する見通しです。これは、2025年に記録した過去最高の15.1 Bcf/dを大幅に上回る数値であり、中東情勢の緊迫化による国際的な需給バランスの変化が米国産LNGへの需要を押し上げていると分析しています。
国際価格差の拡大と輸出ターミナルの高稼働
現在、ホルムズ海峡を通じたLNG輸送の混乱が続いている影響で、米国内価格(ヘンリーハブ)と欧州やアジアの輸入価格との差が大きく広がっています。3月時点のヘンリーハブ価格と欧州の指標であるTTF価格の差は、100万BTU(英国熱量単位)あたり平均14.89ドルに達し、前月比で83%上昇しました。
こうした価格差を背景に、米国の輸出ターミナルの稼働率は2025年を上回り、ほぼ最大能力に近い水準で推移する見込みです。グローバルな供給不安を受けて、一部のオペレーターは本来予定していた設備の保守点検を延期することも検討しているとしています。
新規輸出プロジェクトの稼働開始と輸出承認の拡大
2026年第2四半期には、新たに日量0.9 Bcfの輸出能力が稼働する予定です。具体的には、3月に実質的な完工に至った「コーパスクリスティ・ステージ3(第5トレイン)」や、第2四半期中に輸出開始が見込まれる「ゴールデンパス・第1トレイン」が供給能力に加わります。
また、米国エネルギー省(DOE)は3月、「プレカミンズLNG」に対し、米国と自由貿易協定(FTA)を締結していない国々への輸出承認を13%(日量0.5 Bcf)引き上げることを決定しました。これにより、米国産LNGの主要な輸出先である欧州やアジア諸国への供給体制がさらに強化されることになります。
天然ガス在庫の推移と将来の需給逼迫への懸念
2025年から2026年にかけての冬のシーズン終了時点での天然ガス在庫量は約1,900 Bcfと推定されており、過去5年間の平均を3%上回っています。しかし、原油生産の増加に伴う随伴ガスの増産が見込まれる一方で、好調なLNG輸出が国内の在庫を強力に引き抜く要因となります。
EIAの予測によれば、2027年の暖房シーズン開始時(10月)の在庫レベルは約3,800 Bcfとなり、過去5年平均を1%下回る見通しです。これは2022年以来の低水準となる可能性があり、輸出拡大が国内の需給バランスに与える影響が注視されています。