ニューサウスウェールズ州政府は、2026年5月15日、州北部Moree近郊でGood Earth Green Hydrogen and Ammonia(GEGHA)プロジェクトの建設が始まったと発表しました。州政府によると、同案件はNSW州初の一貫型水素・アンモニア製造拠点で、農業用肥料、灌漑ポンプ、重車両燃料などへの利用を想定しています。
出典:NSW Government:Construction begins on NSW’s first end-to-end green hydrogen hub
年4,500トンの低炭素アンモニアを生産
GEGHAは、再生可能エネルギーを使って水を電気分解し、グリーン水素を製造したうえで、窒素と反応させてアンモニア(NH3)を生産する計画です。NSW州政府は、同施設が年間最大4,500トンの低炭素アンモニアを生産し、輸入される化石燃料由来肥料を代替すると説明しています。
アンモニアは、Sundown Pastoral CompanyのKeytah Farmに供給される予定です。同農場はGwydir地域にある6万5,000エーカー規模の綿花・作物農場で、地域の農業サプライチェーンの脱炭素化に活用されます。
また、同施設は年間200トン超のグリーン水素を生産し、農場の灌漑ポンプや大型車両の燃料用途でディーゼル消費を減らす計画です。州政府は、肥料生産や輸送、重機利用に伴う排出削減につながるとしています。
15MW電解装置を核に地域展開モデルへ
NSW州の計画文書では、GEGHAの主要設備として、15MWの水電解設備を導入する計画が示されています。高圧アルカリ水電解装置を用い、水素製造能力は日量約6トン、年約2,200トン規模とされています。
出典:NSW Planning Portal:Good Earth Green Hydrogen and Ammonia Project document
今回の着工により、建設・運営を通じて合計93人の地域雇用が生まれる見込みです。州政府は、このプロジェクトを地域NSWで展開可能な「拡張・反復可能なモデル」と位置付け、国内製造、農業の供給安定性、エネルギー安全保障の強化につなげる考えです。
農業脱炭素と国内サプライチェーン強化が焦点
この案件の特徴は、水素を単独の燃料として扱うだけでなく、アンモニア肥料、農業機械、灌漑設備まで含めた地域内利用を前提としている点です。輸入肥料への依存を下げながら、農業由来の二酸化炭素換算排出量を最大1万7,000トン削減する効果が見込まれています。これは乗用車約6,500台分を道路から取り除く効果に相当するとされています。
豪州では、再生可能エネルギーを活用した水素産業化が進められていますが、需要地との接続や採算性が課題となっています。GEGHAは、農業地帯に近接して水素とアンモニアを生産・利用する分散型モデルとして、今後の地域エネルギー政策の試金石となりそうです。
出典:NSW Government:Construction begins on NSW’s first end-to-end green hydrogen hub
出典:NSW Planning Portal:Good Earth Green Hydrogen and Ammonia Project document
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