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39002001 【異常気象】CDP、異常気象による将来の世界経済損失が約8,980億ドルに達するとの予測

数値

CDPは、2026年5月12日、環境情報開示システムに集まった最新のデータ分析に基づき、異常気象がもたらすリスクが世界経済に甚大な影響を与え、将来的な予想損失額が合計で約8,980億ドル(約140兆円)に上るとの調査結果を発表しました。現在の投資や企業経営、リスク管理の枠組みにおいて、異常気象への迅速な対応が急務である実態が浮き彫りになっています。

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2025年に同組織を通じて詳細な環境データを開開示した11,261社のうち、異常気象を経営上の重大な財務リスクとして認識している企業はわずか35パーセントにとどまりました。しかし現実には、同年度だけで約30億ドルの実損害が発生しており、その内訳は直接的な費用の増加が3億900万ドル、操業停止による損失が2億6,600万ドルに達しています。特に大雨による被害は顕著で、開示企業全体で15億ドルに及ぶ損失の要因となったことが報告されています。

顕在化する将来の財務リスクと対策費用の対比

今後の展望において、企業が想定する将来的な財務影響額は総額8,980億ドルという巨額に膨らみます。具体的な災害要因としては、洪水による影響が5,280億ドルと大半を占め、次いでサイクロンが1,610億ドル、大雨が860億ドルと予測されています。さらに、これらのリスクの48パーセントは今後2年以内に顕在化する可能性が高く、短期的な事業計画への組み込みが避けられない状況です。

これらの財務損失は、主に生産能力の低下(3,260億ドル)や、保有資産の毀損・早期退職(2,180億ドル)によって引き起こされる見通しです。これらは個別の企業活動にとどまらず、インフラやサプライチェーン、保険市場、公共サービスといった社会共通の基盤全体へ波及すると懸念されています。その一方で、こうした環境リスクへの対策費用は、潜在的な損失額に比べて極めて低く抑えられることも判明しました。同組織の報告書によると、企業1社あたりのリスク中央値が3,940万ドルであるのに対し、リスクを軽減するための対策費用の中央値は310万ドルとなっており、事前に対策を講じる方が約13倍も経済的合理性が高い計算になります。

地方自治体や地域政府が直面する財政的な制約

一方で、都市や州、地域などの地方政府に目を向けると、状況はさらに緊迫しています。データを提供した80カ国、1,005の地方自治体のうち、すでに62パーセントが異常気象による深刻な影響を被っていると回答しました。さらに、全体の60パーセント以上が、今後は猛暑や都市型洪水、干ばつなどの気象災害が、より激甚化するか発生頻度を高める、あるいはその両方が進むと予測しています。

地方政府の約4分の1(23パーセント)は、気象災害の激化が金融や保険活動に対して高いリスクをもたらすと特定しており、世界各地の都市は具体的な適応インフラプロジェクトの設計に乗り出しています。しかし、60パーセント以上の自治体で適応策への追加資金が必要とされているものの、46パーセントが予算制限によって気候変動への十分な対応が阻まれている現状があり、世界全体で少なくとも340億ドルの投資ギャップが生じているとしています。

官民連携による包括的なエコシステム防衛への提言

同組織の気候変動担当グローバルディレクターであるアミール・ソコロフスキー氏は、異常気象がすでに現実の財務リスクであり、操業停止や生産減少を引き起こす危険な連鎖反応を生んでいると指摘します。この構造的な課題は単独の組織で解決できるものではなく、投資の整合性を高め、共有システムの強化と適応策の拡大を官民が連携して進めることが、回復力のある経済への移行を加速させると論じています。

これを踏まえ、同組織は経済全体での解決策を提示しています。企業に対しては、自社資産の露出度だけでなく、物流やインフラ、ユーティリティといった共有システムへの依存関係を考慮した「システム露出型リスク」として異常気象を捉えるよう求めています。また、地方政府には情報開示を通じてインフラリスクとサービス中断の交差点を明確にすること、中央政府には財政・適応政策を統合して社会全体の脆弱性を低減すること、そして金融規制当局や中央銀行には未保険の物理的リスクなどのシステムリスクに対処する監督ツールの活用を呼びかけています。

出典:CDP公式ウェブサイト プレスリリース

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