中国の電池大手、寧徳時代新能源科技(CATL)は、2026年4月21日、北京で開催された技術発表会において、わずか6分間の充電で600kmの走行を可能にする新型リチウムイオン電池「神行(Shenxing)Plus」を発表しました。
この電池は、リン酸鉄リチウム(LFP)をベースとしながら、独自のナノ結晶技術と新たな電解液の採用により、エネルギー密度と充電速度を極限まで高めた次世代製品です。
超急速充電とエネルギー密度の両立
「神行Plus」は、LFP電池として世界で初めて航続距離1,000km(CLTC基準)を達成するポテンシャルを有しています。従来の急速充電電池はエネルギー密度が犠牲になる傾向にありましたが、CATLは正極材のハニカム構造最適化により、205Wh/kgという高いエネルギー密度を実現しました。これにより、1秒の充電で1km走行できる計算となり、EVの最大の課題であった充電時間の長さがガソリン車の給油時間に匹敵するレベルまで短縮されます。
同社は、この超急速充電技術を「5C充電」と定義しています。これは電池容量の5倍の電流で充電できることを意味し、専用の超急速充電器(スーパーチャージャー)と組み合わせることで、旅行中の休憩時間内でのフル充電を可能にします。CATLは既に、中国国内の主要都市においてこの5C対応充電網の整備を加速させており、ハードとソフトの両面からEV利用のストレス解消を目指すとしています。
2026年内の量産と世界展開の展望
発表の中でCATLは、「神行Plus」の量産を2026年後半から開始し、複数の主要自動車メーカーの新型モデルに採用される見通しであることを明らかにしました。また、同社は電池単体の提供に留まらず、シャーシと電池を一体化する「滑板底盤(スケートボード・シャーシ)」技術も披露。これにより、車両設計の自由度向上とコスト低減を同時に図る戦略を提示しています。
今回の発表は、EV市場の成長が鈍化する「キャズム」を突破するための決定打として期待されています。充電インフラの整備と合わせた技術革新により、消費者の航続距離不安を完全に払拭したい考えです。世界最大の電池メーカーとしての地位を盤石にするべく、CATLは2026年末までに超急速充電対応車種を大幅に拡大させる方針を示しました。