寧徳時代新能源科技(CATL)は、2026年4月21日に開催された技術イベントにおいて、ナトリウムイオン電池ブランド「Naxtra」の量産を2026年内に開始することを発表しました。
同社はこれまで、希少金属への依存度を下げつつコスト効率を高める戦略として、LFP(リン酸鉄リチウム)電池の普及を牽引してきました。今回の発表により、LFPの延長線上にある次世代の低コスト技術として、ナトリウムイオン電池をエネルギー貯蔵システム(ESS)や小型電気自動車へ本格投入する構えです。
リチウム不使用による極低コスト化と低温特性の両立
ナトリウムイオン電池は、正極材にリチウムの代わりに安価なナトリウムを使用します。CATLが公開した「Naxtra」のスペックは、エネルギー密度が最大175 Wh/kgに達し、LFP電池の初期水準を上回ります。この技術は、リチウム資源の価格変動リスクを回避できるだけでなく、マイナス40℃の環境下でも90%以上の容量を維持できる高い耐低温性能を備えている点が特徴です。
エネルギー密度が三元系電池(NMC)に比べて低いという課題に対して、同社はLFP電池とナトリウム電池を一つのパックに混載する「AB電池ソリューション」を提示しました。これは、エネルギー密度と低温環境下での出力を最適化する制御技術であり、物理的な専有面積の増大という弱点を技術的にカバーする狙いがあります。
定置用蓄電池市場への拡大とリチウム依存からの脱却
CATLの戦略の核心は、車載用だけでなく定置用蓄電池(ESS)市場のさらなる拡大にあります。定置式の場合、車載用ほど体積あたりのエネルギー密度が厳しく問われないため、低コストでサイクル寿命に優れるナトリウム電池やLFP電池が極めて有利に働きます。
同社は、2026年末までに大規模な量産体制を整えることで、再生可能エネルギーの貯蔵用途に向けた供給を加速させる方針です。これは、単なる電池の低価格化に留まらず、資源調達から電力インフラまでを一貫して「リチウムフリー」の選択肢で補完する、エネルギー転換の新たなフェーズと位置づけられています。