GHGプロトコルScope2改定において、アワリーマッチング導入の議論を主導する団体の1つが英国に本拠を置く非営利国際組織のEnergy Tagで、当社も会員として加入してます。
早期のアワリーマッチングの導入に関しては、まだまだ予断を許さず、特にMetaはその性急な導入に反対しています。
Energy Tagが1月12日に会員向けに発信したニュースレターの中で、同組織のキャンペーンマネージャーであるカール・ケッサー氏の署名記事を紹介していました。
その紹介文で、EnergyTagは、現在の状況を以下のように分析しています。 「Scope2ガイダンスの変更を巡っては、多くの議論や混乱が生じている。カール・ケッサーは、これらの改定がクリーンエネルギー市場を損なうものではなく、むしろ強化することを目的として設計されている理由を丁寧に説明しています。」
カール・ケッサー氏の記事では、Metaを名指しして、反論を述べています。GAFAM内の意見の対立の行方は、その導入タイミングや、例外規定、免除規定に大きな影響を与えますので注視が必要です。
そこで、この記事の、例外規定(免除閾値:対象となる企業規模の範囲)についての主張を以下に要約します。
世界最大級のエネルギー需要家であり、最も収益性の高いテック企業の一部(当社注:GAFAMのことを指すものと思われる)は、データセンター由来の排出量が増加しているにもかかわらず、現行ルールの下で何年も「100%クリーン」を達成しているとされてきました。
このGHGPの分析によれば、さまざまな市場において、**中程度の免除閾値を設定することで、負荷の大部分(多くのケースで95%超)をカバーしつつ、**市場内の企業の少数派(通常は3分の1未満)のみが時間単位マッチングを行えば足りることが示されています。これは効果的な柔軟性であり、特にリソースの限られた企業を含む大多数の企業の負担を軽減しつつ、系統を支配するエネルギー需要家には、より影響力が大きく、整合性の高いルールを適用するものです。
最大規模で最もリソースの整った企業のみに時間単位マッチングを求めることで、世界中で24時間クリーンエネルギーへの需要喚起が生まれる一方、中小企業が広くGHGPに参加するための十分な実行可能性も維持されます。
InfluenceMapによれば、これらの新ルールを概して支持していないとされるMetaのような企業でさえ、実際には提案内容と整合的な調達戦略をすでに追求しています。ある分析では、Metaはすでに約79%の時間単位マッチングを達成しているとされています。
もちろん、これは彼らが好むかもしれない「100%」という主張ではありませんが、この透明性は、実際に存在するクリーンエネルギーのギャップを埋めるための調達戦略や技術の追求を促す可能性があります。
また、ルイジアナ州やオハイオ州で計画されているMetaのデータセンター向けに新たに建設されていると報じられるガス火力エネルギーについて、より正確な状況像を提供することにもつながり得ます。
Meta社への直接的な批判
いかがでしたでしょうか。かなり直截的な表現が並んでいます。
EnergyTagは、Meta社がルイジアナ州・オハイオ州で計画中のデータセンターに供給される電力はガス火力が主電源であると見越して、それを指弾されるのがいやでMeta社が「2030年のアワリーマッチング義務化」に異論を唱えているのではという疑念を示しているようにも見えます。
一方で、早期アワリーマッチング導入を唱え、EnergyTagの緊密先であるGoogleは、2025年のサステナビリティ報告書で、早々とデータセンターへのアワリーマッチング評価をKPIとして導入しているので、これはGAFAM内の綱引き合戦という分析もできようと思います(ただし、そのGoogleですら、日本(東京電力管内)はアワリーマッチング率17%と欧米に比して低いことに留意が必要です)。
出典:Google 2025 Sustanability Report
免除閾値の着地点は年間5,000万kWhなのか?
また、送配電網における全消費電力量の免除閾値で「95%」という数値を明確に示しています。そのラインはGHGプロトコル事務局資料では、年間消費量5,000万kWhの需要家に相当します。
同資料には、500万kWh、1000万kWh、5,000万kWhの3つの免除閾値のケースが示されていますが、そのうち一番大きい閾値を引用しています。
ここからは推理小説の謎解きのようになりますが、アワリーマッチング早期導入の是非をめぐり、論争が激化するなかで、できるだけ多くの賛同を得るために、超大手企業に的を絞って、多くの大手企業はこの際対象外とする、そういったメッセージをEnergyTagは発しているのかもしれません。
もちろん、免除閾値や例外規定をめぐる駆け引きはまだ始まったばかりですので、特に「当落線上にある年間500万~4999万kWhの需要家」にとっては、これからも予断を許さない状況が続くものと思われます。
引き続き、今回のEnergyTagニュースレターの内容を紐解いてまいります。
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