国際エネルギー機関(IEA)は、2026年4月21日、人工知能(AI)の急速な普及がエネルギーシステムに与える影響を分析した最新報告書を発表しました。
報告書によると、2025年のデータセンターの電力需要は前年比17%増と急増しており、世界全体の電力需要の伸び率3%を大幅に上回っています。AIタスクあたりのエネルギー効率は過去に例を見ない速度で向上しているものの、利用者の増加やAIエージェント等の高負荷な用途の拡大がそれを上回る規模となっています。その結果、データセンター全体の消費電力は2030年までに倍増し、AI専用拠点では3倍にまで膨らむ見通しです。
新エネルギー技術への投資加速と物理的制約
急増する需要に対応するため、テック企業によるエネルギー分野への投資が活発化しています。2025年の企業向け再エネ電力購入契約(PPA)の約4割をテックセクターが占めたほか、次世代原子力発電である小型モジュール炉(SMR)の条件付きオフテイク契約は、2024年末の25GWから45GWへと拡大しました。
一方で、電力網の接続遅延や変圧器、ガスタービン等のサプライチェーンの逼迫がデータセンター拡張のボトルネックとなっています。米国等ではオンサイトのガス発電を併設する計画も進んでいますが、AI特有の急激な需要変動に対応するため、次世代データセンターでは蓄電池の併設が不可欠な技術になると分析されています。
官民連携に向けた新たな協議プラットフォームの創設
IEAのファティ・ビロル事務局長は、AIが「エネルギーを消費する存在」から、次世代原子炉や長期蓄電技術の商用化を促す「エネルギーを生み出す存在」へと変化している点を指摘しました。
こうした急速な変化に伴う課題を克服するため、IEAは政府と産業界が定期的に議論を行うための新たなプラットフォームを近く立ち上げる方針です。政策立案者とエネルギー・テック両セクターが連携を深めることで、エネルギーシステムの近代化と供給の安定化を同時に目指すとしています。