IHIと米GEベルノバ(GEV)は2025年3月18日、GEVの大型ガスタービンの運転条件を再現した環境下において、アンモニア燃料のみを使用する「アンモニア専焼」試験に成功したと発表しました。今回の実証は、IHIの相馬原技術開発センター(福島県)にある高圧燃焼試験設備を用いて実施されました。世界的に需要の高い大型のFクラスガスタービン(発電出力約300MW級)の燃焼器を用い、実際の運用に近い高圧・高温条件下で安定した燃焼を維持できることが証明されました。
燃焼技術の確立と排出ガス抑制の両立
今回の試験では、GEVの「7F.05ガスタービン」の燃焼システムをベースに、IHIが開発したアンモニア専用の燃焼器が使用されました。アンモニア($NH_3$)は燃焼速度が遅く、また成分中に窒素を含むため、燃焼時に窒素酸化物(NOx)が発生しやすいという課題があります。しかし、両社は独自の二段燃焼技術などを最適化することで、火炎の安定性を確保しつつ、NOxの排出量を環境規制値以下に抑制することに成功しました。これにより、カーボンニュートラルな電力供給に向けた技術的ハードルが大きく下がったことになります。
温室効果ガス削減と社会実装への展望
アンモニアは燃焼しても二酸化炭素(CO2)を排出しないため、既存の火力発電インフラを活用した脱炭素化の切り札として期待されています。今回の成功により、従来の天然ガス(LNG)との混焼段階を経て、将来的にはアンモニア100%での専焼運転による「ゼロエミッション火力」の実現が現実味を帯びてきました。両社は今後、さらなる燃焼負荷の向上や長期的な信頼性の検証を進め、2030年までの商業化および既存発電所への導入を目指す方針です。
出典:https://www.ihi.co.jp/all_news/2025/resources_energy_environment/1201918_13752.html