NOK株式会社は、2026年3月26日、中部電力ミライズと連携し、静岡県掛川市の営農型太陽光発電所を活用したオフサイト型フィジカルPPAによる電力調達を発表しました。
今回のプロジェクトは、NOKグループとして初のオフサイトPPA導入事例となります。静岡県牧之原市にある静岡事業場の年間消費電力のうち、約5%に相当する電力を賄う計画です。特筆すべきは、太陽光パネルの下で地元の生産者がレモンを栽培する「ソーラーシェアリング(営農型発電)」を採用している点にあります。

これまで、ソーラーシェアリングは各地で導入が進められてきたものの、一部では売電収益が優先され、農業が形骸化している現状が課題視されてきました。本事業では、地域農業の振興を念頭に、レモン栽培という具体的な品目を通じて地元の生産者と協働する形をとっており、持続可能な地域共生モデルとしての実効性が注目されます。
中規模分散型電源によるオフサイトPPAの意義
現在、国内では大規模な太陽光発電の開発が適地の枯渇により困難になっています。これに対し、本事業のような中規模な発電所を特定の需要家(工場や事業場)と結びつける「オフサイトPPA」は、既存の系統網を活用しながら再エネ比率を高める有効な手段となります。
特に、農業と発電を両立させる分散型電源は、土地の有効活用という観点から、メガソーラーに代わる次世代の主力電源として期待されています。こうした小・中規模の電源を複数束ねていく手法は、一極集中型の電源構成から、地域に根ざした「N対N」の電力供給システムへの移行を象徴するものです。
需要家側にとっても、自社の敷地外にある特定の発電所から長期的に電力を調達することで、市場価格の変動リスクを回避しながら脱炭素化を推進できるメリットがあります。
農業振興と連動したバーチャルマイクログリッドへの展望
営農型発電を核とした分散型電源の普及は、将来的に地域内でのエネルギー循環を最適化する「バーチャルマイクログリッド」の構築へとつながる可能性を秘めています。発電所が単なる売電設備ではなく、地域農業の基盤として機能することで、エネルギーと食料生産が一体となった地域循環型モデルが形成されます。
このモデルを深化させる鍵となるのが、発電と消費を1時間単位で一致させる「アワーリーマッチング」の視点です。気象条件に左右される太陽光発電と、工場の稼働状況をリアルタイムで照合し、地域内の蓄電池やEVと連携させることで、電力の地産地消はより高精度なものとなります。
農業生産者がエネルギー供給の担い手ともなるこの仕組みは、地方創生と脱炭素社会の実現を両立させる、新たなエネルギー供給のあり方を提示しているとしています。