イタリア環境・エネルギー安全保障省(MASE)は、2026年4月20日、再生可能エネルギーを支援する新制度「FER2」に基づき、2026年度の入札カレンダーを発表(ディレクター令 第44/2026号)しました。
今回の発表により、長らく停滞していたイタリアの地熱発電セクターが再び動き出すことになります。注目の第1回オークションは2026年6月8日に開始され、今回は「ゼロエミッション地熱発電」カテゴリーに対して30MWの容量が割り当てられました。これは、バイナリーサイクルやクローズドループシステムなど、流体やガスを完全に地下へ戻す先進的な技術を対象としています。
イタリアは世界で初めて地熱発電を実現したパイオニアでありながら、2018年以降、新たな地熱発電所の稼働が途絶えていました。今回のFER2スキームの始動は、市場のボラティリティを抑え、長期的な収益安定性を提供することで、投資を呼び戻す強力なシグナルになると予測されています。
25年間の差額決済契約(CfD)による投資の安定化
FER2制度の最大の特徴は、25年間にわたる長期の「差額決済契約(CfD)」を提供することです。ゼロエミッション地熱発電の場合、上限価格は200ユーロ/MWhに設定されており、市場価格がこれを下回った場合には差額が補填されます。

この仕組みにより、初期投資が巨大で開発リスクの高い地熱プロジェクトに対し、銀行や投資家が資金を投じやすい環境が整います。従来の地熱(技術革新を伴うもの)の上限価格100ユーロ/MWhと比較しても、環境負荷の低いゼロエミッション型には手厚い支援がなされており、技術革新を促す狙いがあるとしています。
今回の30MWの入札に加え、残りの30MWについても2027年以降に順次オークションが開催される予定です。
地域エネルギーの地産地消と供給の安定化
地熱発電は、天候に左右されない「ベースロード電源」としての特性を持ち、電力需給の安定化において極めて重要な役割を果たします。特にイタリアのトスカーナ地方などに眠る豊富な地熱資源を活用することは、エネルギーの地産地消を推進し、化石燃料への依存を低減する大きな一歩となります。
電力の需給を時間単位で一致させる「アワーリーマッチング」の観点からも、24時間安定して発電可能な地熱は、太陽光や風力の変動を補完する理想的な電源です。分散型の地熱発電所が地域ネットワークに統合されることで、将来的なバーチャルマイクログリッドの構築や、地域経済の活性化にも寄与することが期待されます。
当局は、今回のオークションを皮切りに、2028年までに約4.6GWの革新的再エネ導入を目指すとしています。