資源エネルギー庁は、2026年3月、これまでの電力システム改革の成果と課題を検証し、次世代のエネルギー基盤構築に向けた議論をまとめた「制度設計専門会合(WG)とりまとめ」を発表しました。
本資料は、安定供給の確保を大前提としつつ、脱炭素化の推進、系統整備、小売市場の環境整備など、多岐にわたる検討事項を整理したものです。特に、変動性再生可能エネルギー(VRE)の導入拡大や燃料価格の高騰といった環境変化に対応するための、新たな市場ルールのあり方を提示しています。
安定供給と脱炭素化を両立する電源確保のあり方
とりまとめの第一の柱は、脱炭素化を進めながらも、いかに安定供給に必要な供給力と燃料を確保するかという点です。近年、火力発電の休廃止が進む一方で、厳冬期や猛暑時の供給力不足が懸念されており、燃料調達の確実性を高める仕組みづくりが急務となっています。
具体的には、容量市場等の活用により、長期的な供給力を確保するための方策や、燃料の安定的な確保に向けたインセンティブの設計が議論されました。カーボンニュートラルへの移行期において、調整力としての火力の役割を維持しつつ、新たな非化石電源への投資をいかに促すかが焦点となっています。
効率的な系統整備と柔軟な需給運用の仕組み構築
第二の柱は、再生可能エネルギーを最大限活用するための系統整備と、柔軟な需給運用の実現です。再エネの適地と電力消費地を繋ぐ地内系統の計画的な整備を促す仕組みや、大規模な系統強化に係る資金調達の円滑化について検討が行われました。
また、短期間での最適な需給運用を可能にするため、スポット市場や需給調整市場の整備も進められます。需要側が価格に応じて消費を調整するデマンドレスポンス(DR)の活用や、蓄電池などの分散型エネルギーリソース(DER)を市場に統合するための市場整備の重要性が強調されています。
小売市場の環境整備とファイナンスの課題
第三の柱として、小売電気事業者が安定的な価格で需要家へ供給を継続できる環境整備が挙げられました。kWh(電力量)ベースでの供給能力確保を含む事業者の責任・役割の明確化や、価格変動リスクを抑えるための中長期取引の促進に向けた課題整理が行われています。
さらに、共通する課題として、電源や系統への膨大な投資を支えるための「ファイナンス」のあり方についても言及されました。エネルギー転換には巨額の資金が必要となるため、投資家が予見性を持って資金を投じられるような制度的枠組みの構築が、改革の成功を左右するとしています。
出典:https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/jisedai_kiban/pdf/005_03_04.pdf