株式会社富士経済は2026年1月22日、次世代太陽電池として世界的に注目を集めるペロブスカイト太陽電池(PSC)の主要部材に関する調査結果を発表しました。同社の予測によれば、PSCの普及に伴い関連部材の市場は2030年以降に本格的な成長期を迎え、2040年にはバリアフィルムが8,877億円、TCO基板が5,642億円という巨大な市場を形成する見通しです。
バリアフィルムとTCO基板が市場成長を牽引
今回の調査では、PSCの製造に不可欠なバリアフィルム、TCO基板、ペロブスカイト材、電子輸送材、正孔輸送材、背面電極材、封止材の計7品目が対象となりました。PSCは、その軽量さや柔軟性から、従来のシリコン型太陽電池では設置が困難だった建物の壁面や窓、耐荷重の低い屋根などへの導入が期待されています。
市場の本格的な立ち上がりは2025年以降と見られており、2030年を境に需要が急拡大する予測です。特に、フィルム基板型PSCに必須となる「バリアフィルム」は、湿気や酸素に弱いペロブスカイト層を保護するために極めて高い防湿性能が求められます。現在は多層構造によるコスト増が課題となっていますが、量産化と製造プロセスの最適化により、将来的には現在の半額程度まで価格が低下することで、市場浸透が加速すると分析されています。
透明導電膜基板のコストダウンと代替材料の開発
もう一つの主要部材である「TCO基板(透明導電膜付き基板)」は、光を取り込みつつ電気を流す役割を担い、PSCの変換効率や耐久性に直接影響を与えます。現在、主流となっているITO(酸化インジウムスズ)は、希少金属であるインジウムの価格高騰や供給の不安定さが懸念されています。
このため、国内外のメーカーはインジウムを使用しない代替材料の研究や、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)膜の改良を進めています。TCO基板のコストダウンは、PSC自体の製造コスト抑制に直結するため、部材メーカー各社による技術開発の進展が市場拡大の鍵を握ることになります。出荷数量ベースの伸びに対し、市場規模の伸びが緩やかになると予測されているのは、これら主要部材の単価下落が想定されているためです。
垂直統合型から水平分業型へのサプライチェーン変遷
PSCの社会実装に向けた動きは加速しており、2020年代後半からは既存の結晶シリコン型と組み合わせた「タンデム型」の普及も予測されています。当初は垂直統合的な開発が中心でしたが、今後は各部材のスペシャリストによる供給体制が整い、サプライチェーンの分業化が進む見込みです。
富士経済は、今回の調査結果をまとめたレポート「ペロブスカイト太陽電池の主要部材・材料の市場とサプライチェーン動向」において、主要部材の市場動向だけでなく、参入企業の開発状況や技術的課題についても詳細な分析を行っています。次世代エネルギーの主力候補として、部材レベルでのイノベーションが世界のLNG需給バランスやエネルギー自給率にも影響を与える可能性が示唆されています。
出典:https://www.fuji-keizai.co.jp/press/detail.html?cid=26007