中国政府は、2026年3月16日、2026年から2030年までの国家運営の羅針盤となる「第15次五カ年計画」の基本方針を発表しました。
本計画は、従来の経済成長モデルから「高品質成長」への転換を鮮明にし、国家安全保障、経済成長、そして脱炭素を統合した新たな発展モデルを提示しています。特にエネルギー政策においては、再生可能エネルギーを単なる環境対策ではなく、産業競争力と国家安全保障の根幹を成す「国家インフラ」として位置づけているのが特徴です。
再エネを主役に据えたエネルギー供給体系の刷新
第15次五カ年計画では、非化石エネルギー比率を2030年までに25%へ引き上げる目標を掲げています。これに伴い、石炭火力の役割は「主力電源」から再エネの変動を補完する「調整電源」へと明確に転換されました。風力、太陽光、水力、原子力を組み合わせた大規模エネルギー基地の建設を推進し、年間数百GW規模という世界最大級の再エネ導入を継続するとしています。
また、供給サイドの拡充のみならず、需要側での「再エネ代替(substitution)」を強力に推進します。具体的には、約100カ所の「ゼロカーボン工業団地」を建設し、工業用エネルギーを再エネ中心へと構造的に転換させる方針です。これは地域単位での需給調整を深化させ、エネルギー消費の脱炭素化を加速させる狙いがあります。
「新質生産力」による技術自立とグローバル競争力の強化
計画の根底には「新質生産力(New productive forces)」という概念があり、AIや半導体、クリーンエネルギー技術における自立を国家戦略としています。再エネ産業を次世代の成長エンジンと定義し、素材から装置に至るサプライチェーンの強靭化を図ることで、国際的な産業覇権の確立を目指しています。
さらに、炭素強度(GDPあたりの二酸化炭素排出量)の17%削減を目標に据えつつ、経済のレジリエンス(強靭性)を強化する「双循環」戦略を加速させます。中国政府は、国家主導の強力な産業政策を通じて、再エネを軸とした新しい電力システムへの移行を不可逆的なものとする構えです。
出典:http://www.npc.gov.cn/npc/c2/c30834/202603/t20260316_453274.html