株式会社商船三井が2026年1月30日に発表したところによれば、同社は世界初となる国境を越えた二酸化炭素(CO2)の海上輸送・貯留プロジェクトを展開するNorthern Lights JV DA(以下、ノーザン・ライツ社)より、新造液化CO2輸送船2隻の船主として選定されました。これに伴い、2026年1月29日に韓国のHD現代重工業と造船契約を、ノーザン・ライツ社と長期用船契約をそれぞれ締結しています。
本プロジェクトは、欧州の産業過程で排出・回収されたCO2を液化し、船舶によってノルウェーの受入基地まで輸送したのち、海底深くへ永続的に貯留する画期的な取り組みです。商船三井が今回投入する2隻の船舶は、2028年頃の竣工を予定しており、主にスウェーデンのStockholm Exergi社が運営する回収プラントから、ノルウェーのオイガーデンにある受入基地までの輸送任務に従事する計画です。
最新の環境技術を投入した液化CO2輸送船の仕様
今回建造される2隻の輸送船は、燃料にLNG(液化天然ガス)を使用する二元燃料エンジンを搭載しており、航行時の環境負荷を低減する設計となっています。また、北海などの厳しい海域での運用を想定し、氷海域でも航行可能な「アイスクラス(耐氷仕様)」が採用されているのが特徴です。
ノーザン・ライツ社は、エクイノール、トタルエナジーズ、シェルの3社が等しく出資する合弁企業であり、2025年からの本格稼働を目指しています。現在のCO2輸送・貯留能力は年間150万トン規模ですが、商船三井の船舶が参画する2028年までには、その能力を年間500万トン以上にまで引き上げる拡張計画が進められています。
CCSバリューチェーンの構築に向けた戦略的取り組み
脱炭素社会の実現に向けて、排出されたCO2を大気中に放出せず地中に封じ込めるCCS(Carbon Capture and Storage:炭素回収・貯留)の重要性は世界的に高まっています。特に回収地と貯留地が離れている場合、効率的な液化CO2の海上輸送は、このバリューチェーンを成立させるための不可欠な要素となります。
商船三井は、長年にわたるLNG船の運航実績に加え、2021年には液化CO2輸送で35年以上の経験を持つノルウェーのラルビック・シッピング社に出資するなど、同分野での知見を蓄積してきました。今回の契約締結は、同社が掲げる「環境ビジョン2.2」に基づいた低・脱炭素事業の拡大を象徴するものであり、高度な技術を要する液化CO2輸送市場において、グローバルなパートナーとしての地位をより強固なものにする狙いがあります。