矢野経済研究所は2026年2月2日、国内におけるマイクログリッド構築市場の調査結果を発表しました。同レポートによれば、地域資源を活用した自律分散型エネルギーシステムの導入が進み、2025年度までの累計事業費ベースの市場規模は551億円に達すると推計されています。
防災対策と脱炭素化を軸に2040年度には810億円規模へ
国内のマイクログリッド市場は、激甚化する自然災害へのレジリエンス強化や、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた脱炭素化の動きを背景に、成長局面を迎えています。これまでの国主導による実証プロジェクトから、地方自治体や民間企業が主体の社会実装フェーズへと移行しつつあります。
将来予測では、2040年度の単年度市場規模は810億円にまで拡大する見通しです。分散型電源の導入コスト低下や、地域内でのエネルギー地産地消に対する社会的要請が、中長期的な市場形成を牽引する主要な要因として挙げられています。
地域マイクログリッドの構築とエネルギー制御技術の進化
市場の拡大に伴い、再生可能エネルギーと蓄電池、およびそれらを最適に制御するエネルギー管理システム(EMS)の重要性が高まっています。特に、系統停電時に特定エリアを自律させる「地域マイクログリッド」は、自治体の防災拠点や公共施設、避難所などを中心に設置が進んでいます。
参入事業者の動向としては、大手重電メーカーやITベンダーに加え、地域新電力やガス会社などのエネルギー供給事業者が、独自の制御技術を武器にソリューション開発を加速させています。既存の配電網を活用する際の手続きの簡素化など、規制緩和の動きも市場の追い風となっています。
経済性確保に向けたVPP活用と将来の展望
今後の展望として、マイクログリッドを平時の収益源として活用する動きが活発化しています。仮想発電所(VPP)のリソースとして電力取引市場に参加し、需給調整によるインセンティブを得ることで、初期投資の回収期間を短縮するビジネスモデルの構築が進んでいます。
2030年代以降は、電気自動車(EV)を活用したV2G(Vehicle to Grid)技術との連携や、AIによる高度な需要予測の実装により、運用効率がさらに向上すると予測されます。エネルギーの分散化は、地域内での資金循環を生む新たな社会インフラとして、2040年に向けてさらなる発展が期待されています。