日産自動車は2026年4月20日までに、電気自動車(EV)「リーフ」などの車載蓄電池を活用した電力取引事業への参入方針を明らかにしたと一部メディアが報じています。これによれば、日産は2028年度をめどに、住宅とEV間で常時給電が可能な独自開発の双方向充電器を用いた電力管理サービスを開始するとのことです。
また、この仕組みを大規模に統合制御する「仮想発電所(VPP)」を構築し、2030年度以降に電力市場での取引を目指すとしています。AIによる高度な需給調整も視野に入れ、EVを単なる移動手段ではなく「動くエネルギー源」として定義し、新たな収益基盤を確立する方針ということです。。
【独自分析】「走る蓄電池」が拓く低圧リソースアグリゲーションの未来
日産の参入は、先行するタクシーアプリ「GO」が展開するEVフリートのVPP実証と同様、EVを「移動する社会インフラ」へと昇華させる重要な一歩です。GOの事例が法人の集中リソース(高圧)を活用するのに対し、日産の戦略の要諦は一般家庭に分散する膨大な「低圧リソース」の集約にあります。
住宅用太陽光の余剰電力を安価な時間帯に蓄え、需給逼迫時や市場価格高騰時に系統へ供給する仕組みは、電力システム全体にとって極めて柔軟な調整力となります。特に、専門業者による工事負担を軽減し、設置コストを抑えた新開発の双方向充電器が普及すれば、家庭の参入障壁は劇的に下がります。
数万台規模の家庭用EVが「走る蓄電池」として束ねられれば、従来の大型蓄電池を新設するよりも低コストかつ迅速なリソースアグリゲーションが可能になります。これは、次世代の分散型エネルギー市場において、自動車メーカーが単なる車両製造からエネルギープロバイダーへと主導権をシフトさせる可能性を強く示唆しています。