日立製作所が2026年2月10日に発表した内容によると、同社は肥後銀行のグループ会社で再生可能エネルギー事業を担うKSエナジー(熊本県熊本市)と協力し、熊本県内において50MW規模の系統用蓄電所「KSE熊本蓄電所(仮称)」を開発する計画を明らかにしました。
本プロジェクトは、電力系統に直接接続して充放電を行う「系統用蓄電池」を設置・運営するもので、地域金融機関のグループ会社が特別高圧帯の系統用蓄電池事業に主体として参画するのは全国初の事例となります。九州エリアにおける再生可能エネルギーの出力制御を低減し、クリーンな電力を有効活用する仕組みの構築を目指します。
全国初、地域銀行グループによる特別高圧系統用蓄電事業
建設が計画されている「KSE熊本蓄電所」は、定格出力50,000kW(50MW)、定格容量112,880kWh(約112.9MWh)という国内最大級のスペックを備えています。2029年1月の運転開始を予定しており、熊本県内の電力系統へ直接接続されます。
この事業の大きな特徴は、地元の金融機関グループであるKSエナジーが事業主体となり、地域課題の解決に向けた投資を行う点にあります。日立製作所は、長年培ってきたエネルギー管理技術やシステム構築のノウハウを提供し、パートナーとしてこの大規模プロジェクトを技術面から全面的に支援します。
AIを活用した電力トレーディングで出力抑制を解消
九州地方では太陽光発電などの導入が進む一方、供給が需要を上回る際に発電を一時停止させる「出力抑制」の発生が課題となっています。この対策として、本蓄電所では日立が提供する「電力トレーディング支援システム」が導入されます。
このシステムは、AI(人工知能)を活用して日本卸電力取引所(JEPX)の価格変動や電力需給を予測し、蓄電池の充放電タイミングを最適化するものです。これにより、安価な余剰電力を効率的に蓄え、需要が高まる時間帯に放電することで、再エネの無駄をなくすと同時に、電力の安定供給と事業性の確保を両立させます。
脱炭素社会の実現と地域のレジリエンス向上
日立とKSエナジーは、本事業を通じて熊本県内におけるエネルギーの地産地消と脱炭素化を加速させる方針です。大型蓄電所の整備は、再生可能エネルギーの導入拡大を支えるだけでなく、将来的なマイクログリッド構想や地域のエネルギー強靱化(レジリエンス)にも寄与することが期待されています。
両社はこの取り組みを地域主導のエネルギー事業のモデルケースと位置づけ、今後もデジタル技術と金融の知見を融合させることで、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた新たな社会インフラの構築を推進していきます。
出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000551.000067590.html