米国下院議会は、2026年4月23日、国内のエネルギー生産拡大とサプライチェーンの確保を目的とした「地熱熱源活用(HEATS)法案」を発表し、賛成多数で可決しました。
本法案は、ヤング・キム下院議員(カリフォルニア州選出)らによって提出されたもので、地熱発電プロジェクトにおける連邦政府の重複した規制を取り除き、州レベルの許可プロセスが整っている場合には迅速な事業着手を可能にするものです。地熱エネルギーは、24時間365日安定して発電可能な信頼性の高いベースロード電源であり、家庭用暖房や産業プロセスへの電力供給にも適しています。

エネルギー自給率の向上と、他国に依存しないエネルギー安全保障の強化が急務となる中、行政手続きの「レッドテープ(繁雑な官僚形式)」を削減し、より安価で安定した電力を市場に投入する狙いがあるとしています。
世界各地で加速する次世代地熱発電への投資
地熱発電の再評価は米国に留まらず、世界各地で検討と導入が進んでいます。イタリアでは、2026年6月に新制度「FER2」に基づき、ゼロエミッション型の地熱発電を対象とした初のオークションが開催される予定です。同国は地熱発電発祥の地でありながら近年は新設が途絶えていましたが、長期の収益安定化策(CfD)により、投資の呼び戻しを図っています。
地熱は、気象条件に左右されない安定電源として、太陽光や風力といった変動型再生可能エネルギーを補完する重要な役割を担います。次世代型の地熱技術、特にバイナリーサイクルやクローズドループシステムへの移行により、これまで利用が難しかった中低温の熱源も活用可能になりつつあります。
エネルギー安全保障とグリッド統合の鍵
中東情勢の緊迫に伴う化石燃料の価格高騰や供給不安定化に直面する中、地産地消が可能な純国産エネルギーとしての地熱発電の価値は極めて高まっています。米国下院を通過したHEATS法案は、規制緩和によってこうした次世代電源の社会実装を早める一石となると予測されます。
大規模なガス火力発電所の建設コストが急騰する一方で、地熱発電のような安定した再エネ電源をグリッド(電力網)に効果的に統合していくことは、脱炭素とエネルギーの安定供給を両立させるための戦略的な選択肢です。今後は、米国のみならず欧州やアジアなど、資源ポテンシャルを持つ地域での規制改革と技術導入の動きがさらに加速するものとみられます。