米国の電力インフラ投資に関する分析で、電力会社が2030年までに累計約1兆4000億ドル(約224兆円)の設備投資を計画していることが明らかになりました。再生可能エネルギーの導入拡大と電化の進展に伴い、送電網や配電網への投資が急増しているとみられます。
この見通しは、PowerLinesの分析に基づくもので、米国の投資家所有電力会社(IOU)の計画を集約したものです。電力需要はデータセンターや電気自動車(EV)の普及により増加しており、既存インフラの増強が不可欠とされています。
米国で拡大する送電・配電投資
投資の内訳では、発電設備よりも送電・配電網への支出が大きく、特に高圧送電線の新設や系統接続の強化が重点とされています。再エネ電源の立地と需要地が離れているため、長距離送電の整備がボトルネックとなっているためです。
また、分散型電源の増加に伴い、配電網のデジタル化や系統制御の高度化も進められています。こうした投資は、米国の電力料金に転嫁される構造となっており、規制当局による費用回収の枠組みが重要な役割を果たしています。
日本との比較 容量市場と送電投資の差
日本でも電力の安定供給を確保するため、容量市場が導入されていますが、主に発電設備の確保を目的としています。一方、米国では送電網投資が政策の中心に位置付けられており、系統制約の解消が優先課題となっています。
日本の送電投資は、広域機関による計画に基づき段階的に進められていますが、地域間連系線の増強は依然として限定的です。再エネ導入の拡大に伴い、送電インフラの不足が顕在化する可能性が指摘されています。
GX-ETSとの関係 電化と排出削減の接点
日本のGX-ETSは、企業の排出量に価格シグナルを与える制度として設計されていますが、電化の進展に伴い電力需要が増加すれば、電源構成と排出係数の重要性が一層高まります。
米国のように電力インフラへの大規模投資が進めば、再エネ比率の向上と排出削減の両立が可能になります。一方で、日本では非化石証書に依存した排出削減が主流であり、時間的な電源構成を反映しない点が課題とされています。
こうした中、電力の物理的供給と排出削減の整合性を確保する観点から、送電網投資と排出制度の連動が重要になるとしています。
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