経済産業省は、2026年4月23日に第21回脱炭素燃料政策小委員会を開催し、持続可能な航空燃料(SAF)の供給目標の見直しや、新たなバイオエタノールの評価基準策定について発表しました。中東情勢の緊迫化に伴いエネルギー安全保障への懸念が高まる中、石油依存からの脱却を目指す次世代燃料の導入戦略が議論されました。

今回の委員会では、SAF(持続可能な航空燃料)の供給目標量の案を、現状の市場動向やプラントの建設進捗を踏まえて再検討する方針が示されました。また、バイオディーゼル燃料についても、従来の5%混合制限(B5)から、欧州基準に近い7%(B7)への引き上げや、高濃度混合(B20)の民間規格策定に向けた調査事業の開始が報告されています。
SAF供給義務化と最終投資決定への支援策
2030年のSAF大規模供給に向け、2026年は国内の主要プロジェクトがプラント建設の最終投資決定(FID)を下すべき重要な時期と位置付けられています。事務局は、エネルギー供給構造高度化法に基づく供給目標の設定を通じて需要を確定させ、事業者が投資判断を下しやすい環境を整備する方針を明らかにしました。
あわせて、航空利用者への負担についても議論が行われました。一律性、公平性、透明性を確保した上で、空港料金制度を活用した導入初期の負担軽減策や、政府による利用者支援制度の調査検討を進めることで、社会的受容性を高めつつ導入を加速させるとしています。
バイオエタノール調達先の多角化とライフサイクル評価
燃料の安定供給を確保するため、ブラジル産のトウモロコシ由来およびタイ産の砂糖キビ・キャッサバ由来のバイオエタノールについて、新たなCO2排出量算出基準(デフォルト値)の案が提示されました。ブラジル産のトウモロコシ由来については、大豆の裏作物として栽培されたものを対象とし、土地利用変化による影響を厳格に評価した上で、28.15g-CO2eq/MJという規定値を設定する計画です。
また、バイオ燃料の上流・中流工程における海外投資を支援するため、リスクマネーの供給体制についても検討が始まりました。従来のJOGMEC等による資源支援に加え、農産品の集荷や加工といった農業・化学分野にまたがるプロジェクトに対しても、日本企業の権益獲得を後押しする仕組みが必要であるとの認識が共有されました。
水素・アンモニア拠点整備と計画認定の進捗
水素社会推進法に基づき、国内の拠点整備に向けた計画認定の第1弾が完了しました。認定されたのは、三井物産などが北海道苫小牧市で進める低炭素アンモニアの供給拠点整備と、JERAなどが愛知県碧南市で進める大規模アンモニア供給網の構築の2件です。
これらのプロジェクトは、2030年度までの商用サプライチェーン構築を目指しており、上流の製造から国内の利用地点までの輸送・貯蔵設備を対象に、設計やインフラ整備の段階に応じた支援が行われます。事務局は、今後も価格差支援制度と並行して拠点の集約化を促し、水素・アンモニアの国際的なバリューチェーンの確立を急ぐ方針です。
出典:https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/shigen_nenryo/nenryo_seisaku/021.html