韓国政府は2026年3月、Kim Sungwhan気候・エネルギー・環境相が、中東情勢に伴うエネルギー供給不安を受け、「スマートフォンやEVを再エネの多い昼間に充電する」ことを国民に呼びかける政策を発表しました。中東エネルギー危機の中で、夕方・夜間の火力発電によるLNG消費を少しでも抑制するため、需要側の行動変容を促す対応です。
しかし、韓国国民の間からは、「日中は対応できない」「なぜ必要なのかわかりにくい」などといった混乱や反発する声もあり、課題が明らかになったと複数の韓国メディアが報じています。政府が政策を発表しても、定量的・論理的な説明がなければ、国民の自発的な行動変容を引き出すことは容易ではありません。
実は日本でも、株式会社電力シェアリングは、環境省の委託事業として2023年から同様の課題に対する取り組みを実施してきました(環境省プレスリリース・日本経済新聞記事参照)。
当社が実施したEV充電の実証では、実験に参加したEVユーザーに対し、「昼に充電することでCO2排出量を定量的に削減できる」ことを事前に説明したうえで、「需要家排出係数(EV充電者ごとの単位電力量あたりのCO2排出量)」をKPIとして、参加者のスマートフォンにリアルタイムで表示しました。これに少額のポイントを組み合わせることで、昼充電実施者が58%から90%へと有意に増加する結果となりました。行動の意味や成果を定量的に可視化することで、参加者の理解が深まり、実際の行動変容につながることが確認されました。

(注:画像は当社作成。環境省事業は関係ありません。)
ここで注目されるのが、GHGプロトコルScope2改定で導入が検討されている、アワリーマッチングや電力網の時間別排出係数(およびそこから算定される需要家排出係数)です。
これらは本来、企業の排出量報告の高度化を目的とし、企業の社会的責任を問う文脈で議論されているものですが、一方で、スマートメーターやデジタル技術の進展により、個人レベルでも義務ではなく自発的な行動変容を促すツールとして活用できる可能性があります。
電力消費ごとのCO2排出量(需要家排出係数)をリアルタイムに可視化し、その改善に応じてポイント付与やランキングを行う。こうしたゲーミフィケーションの仕組みを組み合わせることで、自発的で納得感のある行動変容を促すことが可能になります。
アワリーマッチングを企業の報告義務にとどめるのではなく、このような形で社会実装に活用することができれば、無理なく再生可能エネルギーの利用を高めながら、LNGや石油といった化石燃料の使用を着実に低減していくことも可能になるのではないかと考えられます。
出典:
【韓国政府発表】
Daytime Rates Down, Evening Rates Up... New Seasonal, Time-of-Use Electricity Pricing Takes Effect
【日本経済新聞】
【日本政府環境省プレスリリース】